燐光群＋グッドフェローズプロデュース「ポッシブル・ワールド Possible
Worlds」
＠下北沢 ザ･スズナリ(2003/7/31-8/17 36ステージ)
http://www.honda-geki.com/suzunari.html
全指定 前売3300円 当日3600円 ペア6000円（前売のみ）
大学・専門学校生以下3000円 高校生以下2000円(劇団のみ）
作：ジョン・マイトン 翻訳：常田景子 演出：坂手洋二
美術：じょん万次郎 照明：竹林功[龍前正夫舞台照明研究所]
音響：島猛[ステージオフィス] 舞台監督：森下紀彦
衣裳：宮本宣子 衣裳助手：大野典子 演出助手：前田愛美 美術協力：加藤ちか
宣伝意匠：高崎勝也 制作：古元道広ほか
出演：
大西孝洋 ：ジョージ
裕木奈江 ：ジョイス（ジョージが思いを寄せる人）、ジョスリン
藤井びん ：バークレー（チーフ捜査官）、男
瀧口修央 ：ウィリアムズ（捜査官）、男
川中健次郎：ペンフィールド（研究者）、面接官、ガイド、管理人、医者
2003/8/14(木)雨 7:05-8:47PM(1'42) 前方より 客席ほぼ満員（110人）
客層：男性過半数、おじさん3割。あと20才代女性、中年女性の順。
客入れ：開場開演20分前。指定席だし、今日のように雨天の時は早め開場をしてほし
いところ。列指定ベンチ3列、パイプ椅子7列。テーブル上場面などあるので、ベンチ
は後ろの方が○。折り込みパンフ。B5 3ページ。翻訳家からの挨拶、配役、スタッフ
予定掲載。次回公演。11/5-24「ＣＶＲ」再演＠スズナリ。11月地人会「心と意志」＠
紀伊國屋ホール 書き下ろし・演出。物販。戯曲集販売。
坂手洋二＋燐光群の海外作品シリーズ。カナダの劇作家の代表作とか。
舞台。黒いモノトーンの無機質な部屋。床と中央を大きくしめる台形テーブルは黒い
ピアノ地仕上げ。上手奥角にとても高いテーブル、下手に尻窄みの柱。手前、客席側
に降りるスロープあり。三方の壁はグレー、中程にピアノ地の帯、その上側は横幅
一杯のスリット状窓。雨天、青空など外の世界をみせ。
お話。脳髄が抜き取られているという、猟奇連続殺人が発生。刑事達は脳を研究して
いる科学者に嫌疑を掛ける。一方、記憶力が人間離れしているアナリストは心惹かれ
る女性にアプローチをしている。場面は変わり、女性は同じ顔と名を持ちながら、
別人のように境遇が変わる。しかし、男性は一人、しかもすべての記憶をもっている
ようなのだ。はたして、脳強盗の犯人は見つかるのか。男と女の関係は如何になる
のか。
醒めない夢のよな現実、剛柔ない交ぜのへんな感触付き。愛する女性との出会いは
出会う毎にリセットされ、男はそれと知りながら繰り返す。男はやがて我慢できなく
なり、自滅的な破局。そして明かされる真相。脳強盗の犯人、その目的と用途。
男と女の離れ得ぬ関係の訳。そして、男の秘密、自らの「脳が見る悪夢」という「現実」
に支配されていたということ。
と、サイコミステリー？、ＳＦ？なラストまで男女と刑事達の日常会話を細かく重ね、
夢幻なマイムダンスシーンなど時折挟んで構成。男女は駆け引きを繰り返し、若い
刑事は自己開発セミナーにはまったり、ととりどり。一個の赤玉と増えていく黒玉、
とかメタファーなオブジェが無造作に置かれ。脳髄だけが生かされ、空腹に反応した
ランプが点灯する機械箱に閉じこめられたねずみ、ら小道具。行方知れずで、意味
ありげな謎めきに好奇心、ふーんとみるねこ。
会話は時々理屈っぽかったり、硬質の印象。今回は柔和な雰囲気の役者さんぞろい
なので、違和感が面白いねこ。無機質な装置に立つ役者の効果も同じ狙いかしら。
闇が主導する舞台でもあり。黒光りする装置と闇に浮かぶ役者、とりわけ裕木奈江
さんの肢体が美しく、ぞくぞくねこ。溶暗する中、ゆっくりと黒テーブルに倒れ伏して
く場面とか◎。
役者。その裕木さん。大人と少女、慎みと激情が同居して、ミステリアス。小顔に
優しげな瞳の魅力は昔と変わらず。次回の舞台公演が近々あり、気が引かれるねこ。
脇役は水準高、個性を感じさせつ、出過ぎないアンサンブル○。
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