青年団＋月の岬プロジェクト「月の岬」
＠三軒茶屋・シアタートラム(1997/7/9-13 8ステージ)
全自由NO.付前売り当日3000
作：松田正隆 演出：平田オリザ 舞台美術：奥村泰彦
出演：内田淳子、葛西健一、岩城覚久、金子魁伺、斉藤和華子、由螺真一郎、
藤野節子、桝野恵子、井上三奈子、金替康博、塩湯マユミ、片桐慎和子、
近藤善樹
1997/7/13(日)くもり 3:00-4:50PM 前方上手より 客席７割（180人)
客層：２０〜３０才代中心に幅広く。おじさんおばさん多が公共ホールらしい。
客入れ：前方ほか各所に係員あり。傘が倒れないよう床置きなど適時注意あり。
しかし、千秋楽というのに満員にならない。知名度低いとはいえ、口コミはどう
したのかしら。こんな完成度高い舞台はそうないのに。
舞台。お寺の母屋？のよう。一段高い幾分煤けた木造、伽藍な舞台。中央、縦長
のどっしりした座卓と夏座布団。下手、棚に電話と小さな観葉植物、平積みの本
ＴＶは見あたらない。中央奥は縁側、周囲を巡る玉砂利の庭と高い壁。縁側には
風鈴。時間経過をちりりんと。見えない空が想起されるタッパの高さ○。もうすこし
小さな劇場のが、部屋のつくりにはあってるとは思うけど。
お話。九州の離島。二人きりで暮らす姉弟。弟の結婚を機に、取り巻く人との不
義と情欲の三角関係が現れてくる。姉は弟（あるいは亡くした父とも？）との秘
められた愛のほころびがもう戻らないことを知っている。死を賭した思いは彼女
をして成就したのか。生と死、思いは曖昧なまま、残されて。
立ちまくる波風、覗く海底な人の暗部。なんでも無げな日常会話に伺える赤裸々
さ。なんかどきどき。怖々好奇心、嫌悪と絶望感ねこ。吹く風だけじゃなし、波にも
罪と罰な深い視点あり。言い寄るいやん男に、拒みながらも含みもたす姉の
孤独と罪。女子高生と訳はしらねど、やっちゃった弟。暗に責める彼女への不誠
実。冒頭、姉の寝室から弟が起床してきたことでも知れる、姉妹の近親姦。どう
しようもない人の業を見事に浮かばせ◎。多くを含ませ、行間を満たす簡素な台
詞。クールに時に激する、適度なアクセントな演出。充実の手応えある舞台、今
年、最良のものの一つと思うねこ。
役者。個々とアンサンブルの高水準。その人がそうしている自然な役の付き方。
視線のちょっとした絡み合い、黙しての間合いの巧さには、微笑ねこ。ねこ初見
の内田淳子さん。切れる視線の強さ、癒されるよな笑顔、涼やかな声、凛とした
姿。彼女の居ない時さえもしれる存在感。まいっちったなねこ。時空劇場みなか
ったのは、今世紀最大失敗と後悔ねこ。女子高生役の子（全体誰がどの役やら？
パンフだとわからないし）射抜くような視線。瞳の表情の移ろいも細やかで◎。
彼女の他の舞台もみてみたいねこ。
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