青年座第138回公演「見よ、飛行機の高く飛べるを」
＠下北沢・本多劇場 (1997/10/10-19 10ステージ) 全指定前売り当日5000
作：永井愛 演出：黒岩亮 出演：麻生侑里、松熊明子、ひがし由貴、佐野美幸
田村茉紗子、鯨エマ、岡本明子、川先宏美、大屋仁志、土屋美穂子、藤夏子
円谷文彦、後藤健、山本龍二、五味多恵子、矢崎文也
1997/10/11(土)晴れ 2:00-5:00PM(休憩15) 前方より 客席７割(300人）
客層：老若男女。おじさんおばさん多め。客入れ：空席多。連休中だから？。
永井愛、主宰・二兎社外への初書き下ろし。12月はテアトルエコーで作演出とか。
舞台。時代な建物。重みと落ちつきなニスの色。下手側舞台半分。椅子テーブル
を配した談話室。大きな観音開き窓４つ。正面暖炉？上「質実剛健」と墨書。中
央。クランクした広め登り階段。下手。どこぞの部屋、外への扉。奧正面に扉と
袖に続く廊下。しっかりとつくりこんだ美術◎。
お話。明治末期。女子師範学校の寄宿舎。厳しい校風も己が誇りと励む少女達。
延ぶ（麻生）は下級生のあこがれ、同級生には頼りの優等生。そんな彼女の取り
巻きから離れ、いつも一人の初江（松熊）。初江は小説の禁止などに疑問、外の
世界に興味津々。ふとしたことで話すきっかけをもった２人は未知の世界に触れ
好奇心と夢を膨らませていく。そんなころ、「質実剛健」から「良妻賢母」への
校風変更、校則違反の少女の処分が。２人をはじめ、少女達の憤りは爆発、
ストライキを決行しようとするが。
主人公・延ぶのモデルは永井愛さんの実祖母。今年105歳。ストライキは師範学校
時代から生涯親交があった、市川房枝さんの実話を参考にしたとのこと。
活き活きとした少女達。不自由な中も心自由な姿が眩しい。80有余年過ぎた今。
自由な中、足かせを自分で付けちゃってるようで恥ずかしいねこ。ラスト、あくまで
理想を仰ぎ見る初江、私的幸せに没頭する延ぶ。２人には同様に光が当てら
れる。高みを見る尊さ、なし得る強さと同時にあるもろさ。完全ではない愛すべき
人を肯定する視線が温かい。モデルとなった２人への思いも感じられて、感涙ねこ。
役柄がみなよく活かされていてて◎。さすがの巧さ。どんなときも、笑いを絶や
さず、テンポよく展開。重い題材なのに、後味がさわやかなのはそれがため。
役者さんは安定した演技。安心のアンサンブル。延ぶ役の麻生侑里さん。
さわやかで華もあって好感ねこ。
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