シアターコクーン「Zenmai(ゼンマイ) 金色の草原に立つ時限爆弾をもった少年｣
＠渋谷・シアターコクーン (1998/10/16-29 14ステージ)
全指定前売り当日共 S-6000 A-4500
原作：春口洋 演出：渡辺えり子
美術：和田平介 音楽：深沢敦 衣装：山本安規子 照明：中川隆一
音響：原島正治 振付：菅原鷹志 ヘアメイク：高橋功亘 擬闘：山田一善
チラシイラスト：高橋常政 制作：林みつ雄ほか
出演：富田靖子（ゼンマイ）、堺雅人（風侍）、小林勝也（セールスマン）
岡本麗（骨董屋のババア／星の王子様）、不破万作（カポネ）、
金山一彦（体育教師／ベンハー）、大鷹明良（ヤクザ）、
オナペッツ（カポネの情婦／コンパニオン）、あづみれいか、夏峰千、穂高ちほ、
まほろば遊（ギャング）、浅香亨、内野智（ヤクザ）、谷川昭一朗、三松明人、
玉置孝匡（ヤクザ／裸族）、平良政幸、我孫子令（ヤクザ／ドラゴンボール）、
若松力（ドラゴンボール）、増田雄一、徳永淳、保井健（ヤクザ／ベンハー）、
原サチコ、村田里佳、山谷典子（少女／コンパニオン）、
川西良枝（少女／歌う人形）
1998/10/18(日)晴れ 1:05-3:10PM(2'05) １Ｆ中段より 客席９割？（700人)
客層：20才代中心（かな）で老若男女。女性過半数。
客入れ：当日券開演１時間前から。女性ばかり15人ほど、コクーンシート(3500)希
望者が多い模様。パンフ(1200）、ちと高め。なにはともあれ数多い出演者のプロ
フィールがみな読めるのは○。
演出家が自分で手がけたい戯曲を選ぶ、シアターコクーン戯曲賞、第三回受賞作。
舞台。ふすまだらけ。中央に孤立１、周辺２階建てでふすまの連なり。袖には溶け
かかったダリの絵みたいなふすまあり。中央が主人公のアパートの押し入れ設定。
建付けが悪くて、劇中外れたり、閉まらなかったり（演出かな、アングラにありが
ちの）。お客はハプニングに受け、堺、富田など役者のアドリブ対応にくすくす笑い。
お話。「男らしさ」を志ながら、うじうじ道程ゆく童貞の青年・風侍。まとわりつ
く体育教師から逃れて帰宅すると、押し売りセールスマンが。女の子型のぜんまい
仕掛け爆弾をその感触に購入、自然膨らむ下半身と夢に現抜かし。これからいいと
こるに闖入爆入する族；ヤクザ、ギャング、ベンハー、ってなに？。一方、ゼンマ
イ仕掛けの女の子は切なさやらを、無垢な心に刻みながらなりたい自分・女を目指
し、スローモーションで爆発してく。追いかけっこしてるよな二人、は一緒に爆発
できる？のかしらん。
男は痛みに途方にくれ、女はそれと共に先にゆく。置いてきぼりのさびしい、むな
しいと感じる一瞬間を2時間に伸長したよな。アナクロ・アングラ、８０年代演劇
の夢と現実の物語、過剰な言葉が詰まった外観。いまさらに自分探しする時代のず
れ、そのしらけちゃう感じを主人公の虚しさに重ねてく、はあえてした仕掛けのよ
う。同時、くるくる派手に転換する展開は夢見る力もちゃんと感じさせて、哀しい
な楽しいなまぜこぜ気分ねこ。老成した星の王子さま、など人物との絡まりも含め
、いく層か重なるエピソードが一筋縄じゃいかない感じで面白し。
前半のカラフル展開や、押入れの不条理な懐かしげな使い方○。後半、もともと多
い台詞に頭飽和気味、加えて見た目の進行が沈滞してダウン気味ねこ。もうちと刈
り込んで、前半のテンポを担保希望。その印象もスズナリとか小劇場公演なら、濃
さが加わって変わるかも。もっとも富田靖子を至近で見たら、ねこの方が爆発する
かもしれないけど。
役者。その富田靖子、セーラー服の。すっと沁みるよな台詞の響き、淋しいのシイ
音なんて◎。と思うと、飛膝蹴りを思いっきりかます、無鉄砲ドスコイ演技もみせ
てくれて◎。惚れちゃう女優さんなり。今回プリンスじゃない、堺雅人。もっとか
っこいいとこ見せられればよかったのに。小林勝也。怪しいおやじ怪演。原サチコ
ほかじゃ見られないセーラー服姿で。
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