サードステージ〈Show Case 第４話〉「パ・ド・ドゥ」
＠中野ザ・ポケット (1999-3/4-15 16ステージ) 全指定前売り当日共3800
作：飯島早苗 演出：板垣恭一 作曲・演奏：北村紀子 音楽協力：江村桂吾
美術：小松信雄 照明：関口祐二[A.P.S] 音響：金子彰宏[オフィス新音]
スタイリスト：古池慶二郎 舞台監督：飯田貴幸 宣伝美術：采澤聰
法律アドバイス：本山信二郎[さくら共同法律事務所]
企画・制作：サードステージ
出演：
京晋佑[自転車キンクリート] ：名塚憲治（弁護士、草子の元・夫）
池津祥子[大人計画] ：日向草子（ＴＶ制作会社プロデューサー、殺人未遂
で拘留中）
声の出演：小西崇之、小野啓明、稲葉鴨貴、本郷小次郎、横塚進之介、金崎敬江
1999/3/7(日)雨 7:35-9:10PM(1'30) 後方より 客席９割(150人)
客層：２０才代中心。女性過半数。
客入れ：当日券、開演１時間前から。本席10枚ほど。中段若干、後方中心中央より
列びの席もちゃんとあり、２人連れでもＯＫ。中段や後方に結構空席あり。ちと
もったいなし。折り込みパンフには、飯島さんと演劇との出会いとか、インタビュー。
自転車キンクリーツ・飯島早苗の本を、サードステージ・板垣恭一が演出の外部
作家・役者シリーズ第４弾。
舞台。石とレンガで囲まれた、拘置所内接見室。なんか古めかしい雰囲気。正面に
使い込まれたテーブルと椅子。奥に一面鉄格子。壁上方に黄ばんだガラス窓、戸外
の樹木がそこからみえる。
お話。別れた、弁護士である夫に自らの弁護を依頼した女。ビジネスライクに話を
聞きはじめた男。も、依頼人の元・妻が知人の男＝今彼の殺人未遂容疑と聞いては
私情が入らぬわけがない。聞き出した話をもとに策を練りながら、なんか夫婦な
ため口しちゃう和みぶり。しかし、女の告白はうそばかりできりきり舞いの顛末。
真実を問う内に二人の過去の溝、疎外され壊れていった元妻の姿と「事件の動機」
が浮かんでくる。
愛と憎しみな二元論じゃ割り切れない、複雑な人の、男女のありよう。女性らしい
細やかさで心の動きを丹念に描いた、ミステリーなドラマ。手応え十二分、さすが
の飯島早苗作品を堪能ねこ。女が男に寄せる思い、それが強いほどに併せて増す
裏切りへの憎しみ。被害者の男性も絡ませて、明らかにしていくアンビバレンスが悲
しくも皮肉な味わい。複雑な女性の心が、単純な恋の言葉で癒されるのもまたそう。
事件の真相は女の証言が不明なまま、ラストでまた一転。男を罠に嵌めての愛情
表現は終わらない。うーん、この女性はホンと複雑。ねこの実生活なら怖すぎてねら
いさげ。囚われながらも、（職務上の）善悪を越えて、人として女性を大切に思い
救おうとする（とねこには見えた、つうか信じたい）男。２人の希望を諦めない、
意志ある姿はかっこいい。女性の理想男性像、その一ってとこかしら。
演出は２人の演技をそのまま引き出して、余計なことはせず。好感ねこ。
役者。２人の、とくに京さんに当て書きのよう。囚われがなくて自由、でいて思慮
深くやさしさを秘めているな。池津さんは抑制しつつ、気持ちの爆発はストレート
に。これも複雑な女性の役柄にあって○。
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