新宿梁山泊 第23回公演 「東京アパッチ族」
＠神田花岡町特設テント (1999/5/29-6/12 15ステージ)
前売 スタンド自由3800 桟敷自由2800（当日+500)
作：坂手洋二［燐光群］ 演出：金盾進 舞台監督：村松明彦＋ZEST
照明デザイン：沖野隆一 照明オペレータ：野中千絵（ステージング）
舞台美術：大塚聡＋百八竜 振付：大川妙子 殺陣：佐藤正行 歌唱指導：田月仙
ハーモニカ指導：奥田瑛二 音響：BIGFORESTONE
宣伝美術：天野天街 [少年王者舘]、姜尚仁 制作：新宿梁山泊事務所
出演：下記
1999/5/29(土)晴 7:05-9:35PM(2'30休10)スタンド後方より 客席ほぼ満員(300人)
客層：いつものように老若男女。学生、ＯＬからおじさん、おばさんまで。燐光群
の役者さんも幾人か（声ですぐわかり）。
客入れ：受付は５ＰＭから。入場整列は開演時間10分前。総武線の車内から見おろ
せる更地のテント前に集合。役者達のハーモニカ演奏を聞きながら、整列入場。
手際のよさは相変わらず。前方桟敷5列(100人）、後方左右の階段スタンド10列
(200人）。後半、上手と前方でちと本水を使うので、ビニールシート配布。今回は両脇
も使った三面舞台なので、スタンド席のが○と思うねこ。桟敷通路脇にいると遊んで
もらえるので、客いじりが好きな人はそこらが○。
長らく暖めていたという・坂手本を得てのホンと久々(3年ぶり）の新作。ツアー
最終東京公演初日。場所は秋葉原・昭和通り脇の再開発地区？。電気街からくるな
ら、ヤマギワ電気〜山の手ガード下を直進するのが○。テント外には劇中登場の虎
WANTEDチラシがそこここに。
舞台。ダンボールな正面壁と張りついたような階段。ハの字に開いた両袖に工事
現場なコンクリート補強鉄棒が立ち並び、間に空調ダクト、ファンが覗く。
お話。「昭和75年」の新宿駅・新幹線ホーム地下工事現場。移動式のダンボールハ
ウスに住むホームレス達。巨大地震の予兆と噂される度重なる余震。ホームレス狩
りのネオナチな若者。追い出しにかかる駅員と行政。そんな障害にもめげず、豊か
で逞しい彼ら。元映画技師のホームレスは映画への愛情を日々の生活に投影。
ある男はぼろは着ても心錦と、カウボーイの志を唱えるのだった。彼らはまた盗品の
稼ぎを山分けにする、新しい共産主義者達でもあった。そんな無秩序ながら平和な
日々に新たな敵が現われる。
もう社会問題てんこ盛りな、大暴れエンターテイメント。生粋の梁山泊ファンは、あい
やーな違和感あるでしょ。湿った感触ある抒情と役者芝居の美しさは影を潜め、
特に前半、悪乗りなほどのスラップスティックなテンポで展開。ホームレス、外国
人問題、民族浄化、暴走する少年、核時代、放射能・環境汚染、選挙権などの題材
を従来比３倍（体感）の台詞量でこなして行く。クールでドライな内容へのてれ隠しか、
しょうもない決闘やらのシーンが怒涛の小道具とともに矢継ぎ早に登場。思わず
笑っちゃったけど、クールな若い方々は呆れていたかも。
そんな舞台を燐光群の役者達がまあ晴れやかな顔で演技。駅員役の下総源太朗
なんか、もうノリノリ。なんか普段溜まってたものがあるんじゃないかと思うほど。そ
れにひきかえ、梁山泊の役者はもうひとつ精彩を欠いて、どうすんだよーな。がん
ばってるんだけど、なんか板についてない感じがしたねこ。石井ひとみ、近藤結宥花
は女優の看板を懸命に背負うけど、うーんうーん。作品のハードさに加え、群像劇
なつくりでスターが前にでないせいもあるかも。
盛りこみの多さに戸惑い、間隙後置き去られた感じもあったねこ。なんか、この呆然
とした感触は今日的って印象。主人公ヨシオは猛はやる「虎の心」をどこに向ければ
いいのかと悩む。「敵がいない世界」の新たなる敵とはなにか。舞台では象徴的な
ものにスポットライトが当てられる。けど恐怖すべき敵がそんな知られたものじゃ
なのは、渾沌としたそれまでの進行からも伺えるところ。見えていない、いることさえ
わからない敵への備えがないこと自体の恐怖。立ち向かわなければならないのは、
そんな私達の無自覚にあるのかしらん。と客席になぜスポットライトが当てられない
のかなと思ったりしたねこ。
などど眉間に皺とわいえ、盛りあがり場面は多く、わくわくテント芝居を楽しめたねこ。
前半の最後なんか、もうここで終わって帰ってもいいかもな感じだったし。
意外に早く開くテントから観渡せる秋葉原の電飾。テント内外を行き交う自転車、
バイク。本水、本火の使用。各種バトルシーン。スーパーウーハからの地鳴り音。
巨悪、知らずの暗部が明かとなるサスペンス、とか。
出演：
大西孝洋［燐光群］：ヨシオ（新人ホームレス）
大貫 誉 ：虎（ノーボディ）
小檜山洋一 ：ジミー（ホームレス、元映画館技師／ジエロニモ）
猪熊恒和［燐光群］：キッド（ホームレス カウボーイの心忘れず）
黒沼弘巳 ：ヒロセ（危険な話の某Ｈ氏を騙る・・）
三浦伸子 ：ハナコ（プロの選挙運動家）
伊藤 彰 ：その秘書
石井ひとみ：マリリン（外国人娼婦）
渡会久美子：バーバラ（同上）
伊貸純子 ：チューリップ（同上）
伊東勝代 ：ケメコ（同上）
岩村和子 ：サユリ（同上）
井上直美 ：ケロリン（同上）
原 昇 ：オッチャン（原始共産主義を信奉する？ホームレス）
松嶋光徳：ゴローさん（同上）
澤出和弘：ゲンさん（同上）
野田英樹：小鉄（同上）
島野雅夫：ホソノさん（同上）
松並俊雄：ヒデヨシ（同上）
伊藤 彰：その子分
近藤結宥花：ハツコ（ホームレス狩りする・・）
広鳥 桂 ：タロウ（同上）
李 秀子 ：チビ（同上）
中島 忍 ：ボス （少年たちのボス。イカレタ聡明な少年）
下総源太朗［燐光群］：駅員（夜勤の駅員）
近藤 弐吉 ：保安官 （コスプレマニア？）
伊藤 彰 ：先生
梶村ともみ：飼育係の父（動物園の）
黒田明美［燐光群］：飼育係の娘
中島 忍：コヨーテ（市長の傀儡）
黒沼弘巳：市長
李 秀子：市長夫人
もりちえ：女
金 守珍：見知らぬ駅員
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