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 新国立劇場 「セツアンの善人」

 @新国立劇場・中劇場 (1999/5/18-6/6 18ステージ) 
 S席6300 A席5250 B席3150 Z席1500(当日のみ)
 脚本:ベルトルト・ブレヒト 演出:串田和美 美術:串田和美
 照明:ブリュノ・グベール 音楽:coba 音響:渡邉邦男 衣装:ワダエミ
 舞台監督:大垣敏朗 技術監督:眞野 純 企画:渡辺浩子
 出演:下記

 1999/5/30(日)晴れ 2:00ー5:25PM(95/休20/85) 正面前方より 客席満員(1000?)
 客層:老若男女とりどり。日曜と合って家族連れもいたよし。
 客入れ:座蒲団もったお客さんちらほら、そんな当日席もでていたのかしら。
 開演前からロビーで大道芸パフォーマンスがあちこちで。もっとも人だかりがして
 た中央では、松田たか子(アコーディオン)、串田和美(クラリネット)をいれ、
 テーブル上での歌と踊り。その脇ではユーモラスに小西さんがジャグリング。すっ
 かりお客もくつろぎなお楽しみ。パンフ(800)。スタッフの創作意図とかあれこれ。

 第2次大戦中に書かれた、ブレヒトの代表作。元自由劇場の串田和美が演出。
 舞台。大きな劇場をスタジオ?、ロフト?雰囲気に。前列8列を潰した張り出し舞台
 を三方から囲む客席。役者に近い配置が嬉しい。左右壁際には客席を10席ほど置
 いた二階構造のイントレ通路。壁沿いに劇中場面を描いた、映画看板が中文混じり
 に掲示。中央舞台は土気色のひろびろ平床。家のミニチュアを掲げたポールが
 (鳥小屋のように)そこここ。これラストでいい感じな演出で使用。他、移動式ライト
 やら、脚立やらあり、撮影現場なライブな雰囲気醸し。

 お話。この世に善人はいるのか、そんな神様の問いかけで始まる舞台。善良であり
 たいと願いながら、そうする為に冷酷に生きざるを得ないという、1人二役の皮肉な
 役回りを演じた娼婦シェン・テ。彼女のかわいそうな運命の物語。

 ビビットな松たか子が素敵。優しい娼婦役の瑞々しさに思わず、微笑むねこ。劇中
 の彼女を慕う周囲に同調しちゃったりして。恋人役・高橋克典を見る眼のひた向き
 にうーん、おじさんまいりましたな。冷徹な実業家役の演技は紋きりなれど、その
 不器用さにこそ、揺らぐ心が覗いたりして○。

 英語、フランス語、ちょっと変な日本語と国際的言葉のるつぼ。大道芸なコミカル
 な演技、演出の往来。脚立を木に仕立てたり、人形と変わり身したり、声で効果音
 を流したりと人の想像力によった表現。あるいは、恋人たちのためのシンプルなス
 トレートプレイ。蓑虫?みたいなざっくり衣装。音楽は・・、cobaぽくはないかな
 とりどり表現に一律でない自由の豊さがあって○。善と悪の二面性つう困っちゃう
 課題を抱えたシニカルドラマ。なれど、不必要に重くしない心配りが訳知りの大人
 みたいで好感ねこ。

 ここの神様って、けっこう酷い。結局なんもできないからと疲れ顔。がんばってね
 でさよならだもん。期待できないと知りつつ、せざるを得ないかわいそうな絶望人
 間はもう茫然自失。その空虚さでぽけらんとした舞台に、地球とそれぞれ人生な家
 並みが浮かぶラスト。結局、今を生きている自分達しかいない。だから、なんとか
 しなくちゃねと、応援する思いが伝わってくるよう。世界が求める善悪がなんに
 よらず、私達の課題と実感できる幕切れ(とそれまで舞台)で○。

 出演:
 松たか子:シェン・テ(心優しい娼婦)、シュイ・タ(冷徹な実業家)
 高橋克典:ヤン・スン(元・飛行機乗り、シェン・テの恋人)
 張春祥[北京出身]:ワン(水売り、神様達にシェン・テを見守るよう命じられる)
 大森博・・・・・:第一の神、シュー・フー(神様と俗っぽい金持ちの二役)
 ゾラン・テ・シッチュ[旧ユーゴ出身]・・:第二の神 (小柄な神様)
 ロラン・レヴィ[パリ出身]・・・・・・・:第三の神 (のっぽの神様)
 エヴァ・アギリアーノシン[スペイン出身]:シン夫人(世知長けた近所の主婦)
 内田紳一郎・・・・・・・・・・・・・・:夫(シェン・テに依存する泥棒一家主)
 アニエス・アダム[フランス出身]・・・・:妻(同上の妻)
 アンドレ・ピンク[ブラジル出身]・・・・:弟
 大和田有・・・・・・・・・・・・・・・:姪
 福井貴一・・・・・・・・・・・・・・・:失業者
 ベヌワ・ディ・マルコ[フランス出身]・・:建具屋
 李 丹[中国出身]・・・・・・・・・・・:ミイ・ツ夫人(大家)
 イザベール・ゴザール[フランス出身]・・:老婆
 スティーブ・エトウ[ロサンゼルス出身]・:祖父
 アスタ・シックワッツ[アイスランド出身]:義理の妹
 小西康久・・・・・・・・・・・・・・・:老人
 稲葉良子・・・・・・・・・・・・・・・:ヤン夫人(ヤン・スンの母親)
 佐藤芳明・・・・・・・・・・・・・・・:ウェイター
 串田和美・・・・・・・・・・・・・・・:警官、僧侶

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