新国立劇場 「欲望という名の電車 A Streetcar Named Desire」
＠初台 新国立劇場中劇場 PLAYHOUSE (2000/10/20-11/11 22ステージ)
S席6,300円 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円（当日のみ1人1枚。予約不可)
作：テネシー・ウィリアムズ 翻訳：鳴海四郎 演出・芸術監督：栗山民也
美術：堀尾幸男 照明：勝柴次朗 音楽：小曽根真 音響：深川定次
衣裳：前田文子 アクション：渥美博 演出助手：川畑秀樹 舞台監督：田中伸幸
制作：新国立劇場、古川恒一ほか 主催：新国立劇場
出演
樋口可南子 ：ブランチ・デュボア （夢見る女性）
内野聖陽[文学座] ：スタンレー・コワルスキ（荒くれもの）
七瀬なつみ ：ステラ・コワルスキ （ブランチの妹、スタンレーの妻）
永島敏行 ：ハロルド・ミッチェル（ミッチ）（スタンレーの友人）
梅沢昌代 ：ユニズ・ハベル （ステラが住む家の大家）
中嶋しゅう ：スチーブ・ハベル（ユニズの夫、スタンレーのポーカー仲間）
金子由之[劇団昴] ：パブロ・ゴンザレス
シャンディ・圭 ：黒人女
金沢映子[文学座] ：メキシコ女
篠原正志 ：集金人の青年
黒木里美[木冬社] ：看護婦
可知晴之[俳優座] ：医師
2000/10/21(土)晴れ 1:05-4:25PM(75/休20/105) 最後尾Ｚ席より 客席満員(1000
客層：老若男女。２０才代と中年の二分化。女性７割。
客入れ：当日券、10AM発売。45分前40人列。15分前に誘導され「欲望」と「太平洋
序曲（宮本亜門演出）」＠小劇場に別れ。「欲望」は販売時40人ほど列。Ｓ席４枚、
Ｚ席４０枚？。ちなみ「太平洋」はＺ席昼夜25枚程（こちらはぴあと同時発売なので
かなりきびしい。半分ほどの人が15分前誘導時点で断られ） Ｚ席は２Ｆ最後尾。
今回は張り出し舞台なので思ったより近い印象。その代わり、見切れが最前方に
若干あり。物販。いつもの無料・小パンフで基本データはわかり。パンフ(Ｂ５ 800円)
の値ごろ感はさすが国立。
有名戯曲(1947初演）を魅力的なキャストで上演。
舞台。廃屋、でも朽ち加減がいい感じ。後方に下手に傾斜した通路、と連なり下手
に降りる階段。中途に二階大家部屋のドア。上空には七色の電飾が渡され、デキシ
ーランドジャズと煙る照明でレイジー。中劇場の中程に置かれた、扇形の居室は
上手側に傾斜。壁は隙間だらけで壊れ掛かり、射す明かりはストライプ。調度は
晒したように色あせ、床にはカーペット然とペンキがぶちまけられてる処も。
部屋の仕切はカーテンのみ、筒抜け。床下には便座、ドラム缶、自転車、トランク
とか、粗大ゴミがごみごみと放棄。陸に係留され、朽ちるにまかせた船な趣あり。
出発を祝うよなカラフル電飾がちょっとシニカル。は後方から俯瞰の印象、至近で
みると危うさプラスの凄みあり。
お話。第二次大戦直後のアメリカ・ニューオーリンズ。没落農家のオールドミス・
ブランチは、妹の夫・スタンレーの粗野な辱めに精神障害をきたしていく。隠され
た欲望と分裂した心理、を熱く荒廃した南部の雰囲気中で描いていく。
強弱くっきり。演技もくっきり。荒くれに逞しい周囲に、儚い樋口ブランチが対比。
空元気な妄想と危うい現実の間を激しく揺れ動き、エキセントリック。過剰さが
見る者の不安掻き立てつつも、どこか笑いと愛嬌を感じさせて絶妙。内野スタンレ
ーは逞しい胸板もさもあり、単明明快な強者。荒くれの所行も正義感と家族愛を裏
打ちして、憎めない。今に通じる悲劇ながら、狂ってもどっこい生きてく人を肯定
、愛情もって描いてて好感ねこ。
演出も劇的にくっきり。照明。生き地獄場面で明転、隠れたいブランチにスポット
刹那な電飾、ブランチが生きるために巡らす蜘蛛の糸も彷彿させ。美術。壊れかけ
た部屋の危うさ、とその無神経な逞しさ○。小道具。役者が落とし、ぶつかる音が
緊迫感醸し。音楽。遠く聞こえるリリカルな音は、甘やかな過去の葬送曲のよう。
役者。樋口、内野前記。七瀬なつみ。普通の人なニュートラルさ○。永島慎二。
シャイな好青年、逞しいがたいに寂しげな表情が○。
［月間一覧］
|