上海太郎舞踏公司「ＲＹＴＨＭ」創立１０周年記念公演
＠伊丹 ＡＩ・ＨＡＬＬ (1999/12/2-5 5ステージ) 全自由 前売3500 当日4000
構成・振付・演出：上海太郎 振付：室町瞳
舞台監督：久保克司[スタッフステーション] 照明：大川貴啓
音響：三好里美[Studio SHIN] 宣伝美術：東学[g'Az]
衣装協力：三大寺志保美、野間真子 制作：上海太郎舞踏公司
出演：上海太郎（コンダクター）、若草鹿（第一バイオリン）、
応仁康子（クラリネット）、室町瞳（ビオラ）、いいむろなおき（ホルン）、
新石器素子（バスーン）、湯殿純（チェロ）、後白木原達仁（ティンパニ）、
森田式丸（トランペット）、垣武可（ティンパニ）、
北村成美[構造計算志向]（オーボエ）、麻生真弓[N-TRANCE FISH]（フルート）、
北村俊介（第二バイオリン）
1999/12/4(土)晴れ 3:10ｰ4:50PM(1'40) 中央前方より 客席８割(140人）
客層：20ｰ30才代中心に老若男女。女性過半数。家族連れもちらほら。
客入れ；折り込みパンフに顔写真貼付（名前と一致できて○）。結成当時の募集
広告転記、驚く物々しさ。物販なし。
結成１０年記念。先のソロ「エロス」（半集合公演）から早々の本公演。
舞台。黒のスクエア、奥に巾一杯の通路。客席は正面とサイドのコの字配置。
お話。音楽の才たけた少年は長じて作曲家、指揮者に。街の生音は彼にはみんな
音楽。ハートどきどき中学生の心拍音、スーパーの買い物往来さえも。がある日
突然の変事が訪れる。難聴、無音の世界。そんな彼を救ったのは彼自身、心に
生きる音楽だった。ベートーヴェンの生涯をモチーフにした男の転変に少女との
すれ違い挿話を添え、愉快なマイム、ダンス、寸劇で彩り綴っていく。
めちゃ楽しい、しんみりと感動。１０周年に放つヒット作。歴代ベストの一つ。
ジャック・ドゥミ、ロシュフォールの恋人達も喜ぶ、生活ダンス。スーパーでお買い
もの♪ダンスのキュート。「運命」にのっての日本食堂で朝御飯♪オペラの大仰さ故
のとほほさ。お茶目に歌い、軽快に弾み、とりどりドラマしながらの群舞。才気闊達
なアンサンブルは呆れるほど見事。すごいのに親しみな笑いつき、一捻りの落ちも
愉快。うふふんな。同じシークエンス、反復する動きが多。繰り返しにも捻りと
ずっこけ忘れず。もう愛情感じちゃうねこ。マチソワ２回観ちゃいました。
聴覚を無くした主人公に「音楽」が蘇るラスト。先行しての音楽つきだったダンス
での「演奏」を、無音の表情豊かなダンスで「演奏」。体感できる「音」しみじみ
感動ねこ。
統制された純ダンスのグルーブ感、テーマの深さじゃ「ダーウィンの・・」に負け
るかも。でも、明るさと茶目っ気で凌ぐ、ラブリーな今回。東京再演、希望ねこ。
パフォーマ。表情活き活き、みてるだけで楽しい。とりわけ、若草、室町、応仁の
３人がとてもキューティ。北村のコメディアンヌぶりも楽しい。
主な構成
１「第五交響曲 運命」 白黒正装、学校制服、ギャルソンな装いの全員。準備体操。
指揮者（上海）により演奏なダンス開始。振りがへんなのに音にあっててそれぽく
「聞こえる」面白さ。踊りながらドラマとかいろいろ。カンフー？。漫才でよしな
はれつっこみ（を四人でリレーする）。女子化粧室のやっかみ、いじめ、裏切り編
おやつくれへん、いけすかな編。お茶のお点前編。ＤＪブース。第1バイオリンと
第2バイオリンが対決。第2バイオリンに威嚇され、第1バイオリンらは負けてしょ
ぼん編。ホルンは第1バイオリン？に片思い編。叫ぶ、笑う、泣く、脱力ともう
そこここでやかましいダンス。各パートでちゃんと「演奏」してるのがナイス。
２指揮者、なんか放心の体で街へ、電車に乗って。気遣う女性楽員（室町）が後を
付ける。電車にのって移動する指揮者。
３子供達がわーいと遊び（スローモーションでの冒頭シーン）。縄跳び（綱が目に見
えるよう）。少年（上海）が上の空の態で登場。漏れて来るピアノ音に引かれて
くる。遊ぶのやめちゃう、みんな。不思議顔で少年を見送る。少年、ピアノが鳴
っている部屋の前に。と鳴りやんで、女の子（室町）が。な〜に？と少年に顔寄
せ気になる様子で帰ってく。なんかどぎまぎする少年。またピアノの音。えっ？
なんで、帰ったばかりなのに？？。また、鳴りやんで。（以下女の子の時とおん
なじ芝居を繰り返す）こんどは男の子！！。どっきり、気まずい。顔をよせてきて
なんだよ君は〜と怪しがる様子で帰っていく。無音に安心、教室に入ってピアノ
を引き（音せず ＞次シークエンスに続く）
４真っ白な人達が横に広がって寝てる。と、慌てて起きて横に整列。ド、レ、ミと
それぞれ音階パートをセクシー、とんま、青春してるかい！とか、ポーズ付きで
発声。彼らはピアノの鍵盤だったんですね。「レ」は横から一回だけ遅れて現れ。
終わると間もなく上からなんか降りてきて〜。ピアノの蓋だったんですね。
５少年、ねこ（声だけ）を捕まえて、悪戯。みぎーと逃げようとする猫。毛をちょき
ちょき（切るのに合わせて、み、み（濁点付）と猫が鳴くのがおかしい）。ふぎー
と逃げる猫。ぴんときて、ピアノで作曲（＞次シークエンス）。
６てんでばらばらに寝てる白黒衣装の人達。慌てておきて、壇に腰掛け。猫ふんじゃ
った、を割台詞ならぬ、割加歌詞、振り付きで唄い。出番ない子は居眠り、隣が
鳴ると慌てて起きたりして。なんか胸に手を当て声をしぼりさす子（北村）も
いたりして。
７学校おしまい。新世界交響曲流れる校庭。少年は地面に五線譜を書き、足で
ステップして演奏。音階飛ぶと大変。さっきピアノ引いていた男の子が好奇心に
来て、まねてステップ。ちがうよっ、と少年は指導、猫ふんじゃった。２人で右手、
左手になって演奏。
８色とりどりのトランクもった少年少女５人。上海な少年と顔合わせると、つんと
しちゃって仲悪そう。ライバル？。少年はあのピアノ少女がいて驚き。今日はピア
ノのコンテスト。みんあ旨いね、雄弁に演奏。件の少年はもちろん、猫ふんじゃった
結果発表、意外にも少年が優勝。やったね。燕尾服を賞品に着せてもらい。ピアノ
少女は少年を、なにさっと一方的におかんむりして帰ってく。
９少年帰路。雨降り。傘をさしてステップ。ぴんときた、作曲メモ。雨降りかあさん
（だっけ）。なんか違う〜と顔を左右にふる少年。爽やかな景色を想像して、夏の
思い出。落ち葉に、ペチカ。とどんどん曲（童謡、唱歌ばかり）ができるけど、
違う！、気に入らない。とそこにピアノ少女が。隠れてみていると、が学生服の男
と腕を組み、楽しげに歩いてる。なんかしょんぼりしちゃう少年。ぴんときた。
作曲「月光ソナタ」。一面、月明かりのブルー。曲ができあがり、哀しいけど微笑
む少年。
１０読経の声、お葬式。学生服の子と母親、娘（若草）が霊前。父親が亡くなったの
かしらね。最初は神妙な焼香者。と踊れる乗りの曲が読経に被さり。高飛車な女
（北島）がファッションモデルみたいな歩きで登場。遺族にぴっと鋭い一別をくれて
礼。遺影に視線なげつけ、決めポーズしてきびす返し。それからはファッション
ショーな焼香客が続々。２人でユニゾンにセクシーポーズつけたり。遺影に威嚇
目線なげたり、一瞬、微笑んだり。焼香作法のポイントいれ、パフォーマが切れる
動きで決めるのがおかしいねこ。最後は髭達磨な先生と横一列で入場、場内喝采。
みんな去って、閑散。残された遺族呆然、とほほ、泣けてきた。
１１椅子にガウンを着た指揮棒もつ指揮者がまどろみ。起きると、虫がぶーん。そこ
だ！！と後ろ手に虫を指揮棒にさしてしとめる。ちゃんと洗ったと思ったら、指揮
棒で歯磨き開始。ちゃんとバス法（だっけ、くりっくりっと弾くの）。拭いて、
なにやらがさごそ仕草。指揮棒でさしてもぐもぐ、食事ですか？。窓を開けて、
外をうかがい・・。
１２青きドナウ。優雅なウィンナワルツ。スーパー制服、頭にレースのカチューシャ
のレジ担当の３人、男性店員も踊りながらチェック。妊婦？まるまるした主婦達が
踊りながら登場。試食、世間話、店員と不倫？、と主婦が左右に目配せして、万引
き。いぶかしく思った男性店員、後をつけて詰問。見逃して、だめ〜、とバレエな
振りしてやりとり。でも、温情をかけてくれた店員とにわかにラブラブな万引き犯
主婦。
１３指揮者、街へ。踏切のかんかん音、電車が通過する音を三拍子で指揮。踏切待ち
の主婦達は危ない人見る目で、ちと離れてくすくす。踏切が上がり、ありがとうと
近所集に礼する指揮者。笑いながら、足早に渡る主婦の後を追って・・。
１４勇ましいマーチ。頭にアーミー帽子被った、スーパー制服の３人、きびきびと
登場！！。店員、主婦も（芝居ねたはワルツと同じ）てきぱき、ぴしっ！と。挨拶
は敬礼、店員はほふく前進で移動、苦情主婦は店員にびんたをくらわされ。万引き
主婦発見。さて、と思いきや即刻店員に射殺される。わー、スーパー内はてんや
わんやに。
１５ベンチ、公園、パントマイマー（いいむろ）。だれも観客いないところに指揮者
が。マイムを見せるけど、眠そうで関心なさそう。近所の連中があつまめるが、
指揮者午睡。拍手してると指揮はじめるし。お代をお願いしてもぼけてる？し。
少女（若草）がブランコ、それも指揮。へんなおじさんに怯えて逃げる少女。
大工が鉋を掛けてるとこもリズム、いぶかしい顔されながら。学生服男子（応仁）
にどぎまぎしてラブレターを渡せない女子。どきどきの鼓動のリズムとり。２人の
間にはいって無自覚に恋路の邪魔。トイレから水音、ドアをいきなり開けて、用を
足していた男性（いいむろ）はびっくり。水が吸いこまれる音まで指揮するまじめ
鹿威しからこーんと音。リズムを合わせようとするも、なんかランダムにテンポ
かわり。1回だけ、指揮棒を振り下ろすのと、かっこーん音が一致。嬉しそう。
海辺へ、寄せては返す波のリズムを指揮。ざっぶんーん、濡れちゃいましたよ。
１６「オペラ朝ご飯」
民芸店風の日本食店（定食屋）。正装の指揮者（上海）、歌手（室町）、
楽団員（若草）がやってくる。楽しみなのは朝ご飯。「第五交響曲 運命」の旋律
に乗ってオペラ。み・ん・な・で！あ・さ・ご・はーんじゃじゃじゃじゃーんの節で）。
和服美女達がゴージャスなおかずを説明。白飯か混ぜご飯にするか、悩む3人。
白ご飯、おかず濃そうだしときめると板前さんが歌いながら登場、
ま・ぜ・ご・はーんと強くお奨め。しかし、混ぜご飯は二つだけ。うーん。
女性2人が半分個にと決め、指揮者はなやみん。ゴージャスなおかずには・・、
まぜごはんは煮ころがしと濃い味付けがぶつかるのではないか・・・。
とさらに悩んでいると。和服美人の仲居さんが、ひ・る・ご・はーんと。
ぇえ？、朝ご飯お仕舞いなの？。みんな片付けられちゃって置いてきぼり3人。
ぐーと誰かのお腹がなった、とほほのほ。
１７水底のような、泳ぎながら指揮者は椅子へ。まどろみから覚めて、なにか
おかしいと耳掃除。いっぱいとれて嬉しい、けど変。ピアノをひく、音しない！？
強打、かすかにする。変。電話、受話器をとるも聞き取れない。ドアベルの音、
だれもいない。変。スーパーにいくも音がしない。ガラスコップ？を床に叩きつける、
音がして安心、どんどん床になげつける。とスーパーの店員に首根っこをつかまえ
られる。レコードを家で聞く、最大音量もなぜかかすかにしか聞こえない、スピー
カーを近くに近づけるのだが。
１８指揮者、とぼとぼと街へ（冒頭近くのシークエンスNO.2と同じ。女性（室町）が
追って）
１９公園パントマイマーとまた出会い。今度は見たい気持ちがある模様。お代をと
いわれても、もち金なし。やむなく、一番大事な指揮棒を。とぼとぼ去った後、
怪訝なパントマイマー。指揮棒で気まぐれに遊んだり。そこに女性（室町）が
追いつく。
２０ステレオ大音声に、苦情の近所が指揮者の家を取り囲み。壁を殴ったり。1人
うずくまる指揮者。女性（室町）が到着、ステレオを止めて指揮者を気遣う。そこに
楽団員達がわいわいと。でも指揮者には談笑の内容が聞き取れない。乾杯。周囲は
ストップモーション。指揮者は公園へ。ベンチで寝転がり、星をみてると頭の中に
なる音楽。ブランコ少女、大工、ラブラブ中学生。それぞれの生音は親しげに彼に
微笑みかけてくる。白い服の(鍵盤な）一団が彼を取り巻く。指揮棒を渡され、
ベンチに立つ指揮者。音は聞こえない、でも、そこでは「運命」が昔とおなじように
演じられ、鳴り響いて・・。
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