自転車キンクリートSTORE「マクベス」
＠新宿 スペース・ゼロ (1999/12/9-19 14ステージ） 全指定前売り当日とも4800
原作：シェイクスピア 翻訳：小田島雄志 構成・演出：鈴木裕美
装置：川口夏江 照明：中川隆一 音響：井上正弘 衣裳：前田文子
ヘアメイク：河村陽子 殺陣アドバイザー［JAC］）：山田一善
小道具：石井みほ 舞台監督：小林丈人 演出助手：山田美紀
宣伝美術：鳥井和昌 制作：自転車キンクリーツカンパニー、長谷川ゆみ子ほか
出演：
マクベス ：佐々木蔵之介 [元惑星ピスタチオ]
マクベス夫人：芳本美代子
マクダフ ：山本亨 ［元JAC]
パンクオー ：樋渡真司
ロス ：久松信美
レノックス ：八十田勇一 ［劇団そとばこまち]
アンガス ：草野徹 [元東京壱組]
ダンカン ：海津義孝 [元万有引力]
マルカム ：田中哲司
ドナルベーンメンティース ：山中崇志 ［扉座］
暗殺者１・ケースネス ：武田滋裕 ［JAC]
コーダーの領主・暗殺者2・医師：佐藤二朗 [劇団ちからわざ]
マクダフ夫人フリーアンス：柳岡香里 [元山の手事情社]
マクダフの息子 ：袴田義明 （子役）
魔女：岡田正（長女）[ニナガワカンパニー]、歌川椎子（つっこみ担当）、池田貴美子（次女）
1999/12/12(日)晴れ 1:05-3:55PM(95/休10/60） 後方より 客席ほぼ満員(320人)
客層：20-30才代、やや高めの年齢層。女性過半数。
客入れ：当日券、開演１時間前から。８人列。前方、後方の本席6､7、サイド補助席
15。通路補助20?は出ていなかった模様。パンフ(B5版1000)。今回脚本の仕事がなか
った飯島早苗責任編集とか。ほかポスター、著作本など。配役とスタッフ一覧が
折込として配布、親切。
鈴木裕美が一緒に始発まで飲みたい作家（チェーホフは嫌）というシェイクスピア
の作品。本格上演・第一弾はハイスピードに堕ちる悲しみ可笑しみな、マクベス。
ほか、取り上げたい作品はロミジョリ、オセロ、間違い探し（パンフ）とか。
舞台。どこぞの避暑地別荘雰囲気。さらりとスタイリッシュ風情。舞台横幅いっぱ
いに使用。開けたガラス窓もつ中二階テラス。そこから左右袖のバルコニーに
繋がり、異なる配置の階段で階下。中央正面にカーテン、上手もまたカーテンで
隣室と仕切られ。下手に地階への階段、のひとは壁開口からうかがえる設え。
お話し。スコットランドの武将マクベス。魔女達の予言、妻にそそのかされ、王
ダンカン、そして盟友バンクォーをも殺してしまう。王座を奪うも長く続かず、
先王の遺児によって討たれてしまう。そんななんか大変ですねえ、な物語。
台詞や構成をとこどこ変え、登場人物とその絡まりをくっきり。人物個々人が
こんな印象に残るマクベスはしらないねこ。既存上演によらず、よく考えられてる
印象。ラストのロスとマクダフの遺恨に復讐の連鎖を余韻するとこも、地獄終わらぬ
今の世界に繋がってて○。
しっくり、納得できるマクベス。これもじてキンな等身大。原作台詞主体なれど
なごみ場面は現代口語。武将はマクベスにせよ、学生ぽい乗りのそこらお兄さん。
マクベス夫人はシチューつくって心待ちなかわいい奥さん。魔女は野次馬なご近所
しつつ、不謹慎な悪意を撒き散らし。衣装。野郎は現代風、中世ぽい味わい加味
（ダンカンは王冠にローブの定番で決め）。美術。鮮やかビジュアル。静謐な白に
血の汚れを加えてく、スプラッタ趣向。真白の明かりが、突然におどろおどろの影
つきになったりも。
マクベスがなぜに転落したか。弱くも時に残酷になれるのが人、または子供という。
冒頭に肉弾どろどろのリアル戦闘場面。長丁場で異常さを強く印象。その中で戸惑
い、子供っぽい恐れを抱く・武将マクベス。気の迷いは不安を増長し、保身がため
権力欲、暴力へと駆りたてる。妻の前ではうじうじ、甘えん坊なんだもん、マクベ
ス。彼女の言葉は安らぎ、もしかしてのマザコンには抗い難い母がごとき命かも。
そんなこんなで地獄へ突っ走るマクベス夫婦。ごくありげご近所ラブラブカップル
がそんなことするなんてな、現代的悲劇性な趣向。いつもながら、私達の舞台に
するのがうまい、じてキンと感心ねこ。
役者。蔵・若様。悪意ある役を演じる、ダークな魅力久々に。同時、脆弱な面も
印象深くきっちり演じて、○。いっそうお痩せになった風貌での鬼神かくやの
表情も、恐持てでいいし。
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