自転車キンクリートＳＴＯＲＥ 「ＯＵＴ」
＠新宿 全労済ホールスペース・ゼロ(2000/11/29-12/10 14ステージ)
＠大阪 近鉄小劇場 12/14-17
全指定 前売り当日とも5,000円
原作：桐野夏生 脚本：飯島早苗 演出：鈴木裕美 装置：川口夏江
照明：中川隆一 音響：井上正弘 衣裳：宮本宣子 ヘアメイク：河村陽子
舞台監督：菅野将機 演出助手：山田美紀 宣伝美術：鳥井和昌
制作：自転車キンクリーツカンパニー、長谷川ゆみ子ほか
出演：
久世星佳 ：香取雅子
竹内都子 ：城之内邦子
松本紀保 ：山本弥生
歌川椎子 ：吾妻ヨシエ
小市慢太郎［Ｍ.Ｏ.Ｐ.］ ：佐竹光義
田中哲司 ：十文字彬、健司の同僚
佐藤二郎［劇団ちからわざ］：山本健司、宮森カズオ
樋渡真司 ：香取良樹、刑事、弁当工場主任
2000/12/3(日)曇り 2:05-4:50PM(2'45) 後方より 客席満員(300人)
客層：20-30才代中心に幅広く。女性過半数。
客入れ：場内案内常駐。物販。折り込みパンフ。配役のみの最小限。物販。
パンフ(B5 1000円）原作者と演出、演劇プロデューサーと脚本家の対談収録。
役者の800文字以内での相互紹介、稽古場日記収録。ほか戯曲本とか。
ベストセラーミステリー舞台化。客演を多くして、昨年の「マクベス」に続いて
原作付きドラマな今回。
舞台。錆が浮いた白く光る金属壁。正面に開口３つ。袖の大型開口には粉塵防止の
ビニールカーテン。椅子、テーブルの調度はみんな金属。手前、舞台幅一杯に金属
引き戸。重々しい音がきりりと舞台を引き締める。と、食品加工工場のひやりと
した感触が終始一貫。
お話。弁当工場の女性達。それぞれの家庭は親子、夫ともしがらみを抱え、幸福
とはいえない。とある日、仲間の１人が夫を殺してしまう、してはいけない一線を
越えてしまったのだ。助けようとする周囲もまた取り返しがつかない、底に転げ
始める。女達の危うい隠蔽工作。その中でえん罪をきせられた男の復讐、とリー
ダーな女性の戦いを軸として展開。
究極のラブストーリー。孤独な他者と自分との哀切の感情が異常な状況に浮かび、
しみじみねこ。ストイックに削ぎ落とした進行。スプラッタ場面はべたにみせず、
登場人物の心中を小説まんまのモノローグで描く。ハードボイルドにかっこよく、
ぐいぐいと引き込んでく。３時間近く、休憩時間なしも気にならないほどの求心力
昨年のマクベスに続く、スピード感。シンプルなるも想像力を刺激する劇的さが
快感ねこ。
インモラルな物語に関わらず、黒い快感あり。それをナチュラルな日常な会話から
浮かばせて巧み。その点、じてキンじゃないけど、とてもじてキンらしい。
役者。久世さん。かっこよすぎにクール。内面の揺らぎもじんわりと人間味感じ
させて○じ。小市さん。出口のない狂気と孤独を抑制した演技でして、なかなか。
竹内さん。おばかな女性をいかにもありげにして巧し。
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