スクエア 第７回公演「俺の優しさ」
＠大阪 ウイングフィールド (2000/5/4-7 8ステージ)
全自由 前売2,000円 当日2,300円 高校生1,000円(当日のみ要学生証)
作： 森澤匡晴 演出：上田一軒 舞台監督：武吉浩二[スタッフ空海]
舞台美術：柴田隆弘 照明：左近戸妙子 音響：川嶋孝男[BBT
GROOVERS]
宣伝美術：植田聡史[gigaflops] 制作：中原佳子
出演：
北村守 ：滝田勤 （制作部チーフ。コピーライター。やや猪突猛進）
奈須崇 ：染谷典安 （営業。葬式屋と掛け持ちで過労死寸前？）
池田幸臣：関口俊吾 （制作部レイアウト担当。クールそうで自己愛の強い人）
上田一軒：村橋勇 （村橋企画社長。口調、しゃべる内容共にうるさい）
片桐慎和子：原田咲子（制作部室お手伝い。不思議少女）
森澤匡晴：小西郁生 （ビューティシャン化粧品宣伝担当。シャイ。左遷の噂？）
2000/5/6(土)晴れ 3:05-4:40PM(1'30) 前方より 客席満員(80人)
客層：２０才代中心にとりどり。男性結構多め。
客入れ：遅れていったので開場時状況不明。１Ｆ受付から５Ｆ〜会場への案内
あり。桟敷２、中途半端な雛壇、パイプ椅子席ととりどりの客席。場内誘導は
なし。折り込みパンフ。キャスト、スタッフ、予定の最小限。物販なし。
初見。前回、旗揚げ２年でＯＭＳ公演と期待の若手劇団。
舞台。見応えあり。商店街とかにあるそうな、実務重視のデザイン事務所をリアル
に造り込み。東京だとシャンプーハット相当のレベル。コンクリートのくすんだ
壁際に資料ラック、机、小物が雑然とあり。下手ブラインド窓、上手ガラス付き
入口ドア。中央事務机が背中合わせ、パーティションなしで対面常時。所々ぬい
ぐるみ、お手伝いの子の？。職場で自由にさせてあげてて優しいか、甘いかという
ところ。（ちなみ調度配置は時計周りに：備品や消耗品のダンボール沢山ラック、
小引き出し収納庫、パソコンと机、事務机、ブラインド窓下にＴＶを置いたラック
５月の日付カレンダー、大小資料ラック（クリアブック沢山）、観葉植物、換気扇
を上に置いたガラスつき扉、下駄箱、横の壁に予定記入のホワイトボード、隣袖の
壁にトイレやらへのドア、世界地図、応接椅子一脚とテーブル。
お話。雨ふり。退社時間を過ぎても居残りのデザイン事務所制作部。なぜなら、
明日顧客への化粧品プレゼン資料ができていないから。がひーん。チーフはと
いえば、傘も差さずに（後輩に声をかえてもらえず）濡れねずみ。着替えを買おう
と外出しては濡れて帰る、を繰り返し。もういっちゃってる、行ったきり帰って
こないし。
後輩のクールな校正担当君はここは私がっ、とコピー立案志願。やっと帰ってきた
営業はそんな苦労を知らず。バイトに精をだし、自業自得に多忙半死半生を愚痴。
なんもできないけど、お手伝いの女の子はそんな彼らにおかあちゃんな心配りを
かかさず。そんなとこになぜか、顧客の担当者が来るという知らせ。まずすぎ！。
実はこの担当はダメダメ君。左遷を回避しようと一発逆転の手柄を画策。結婚も
控えてるしね。「やさしさ」を唱える上司に内緒で、「逞しさ」をコンセプトにと
デザインを勝手に依頼。ばれたらまずいでしょな。第一、化粧品だし。
もう一つの秘密あり。事務所のお手伝いの子とダメダメ君は婚約中。訪ねてきた
彼と２人きりに嬉しい、お手伝いの子。仕事の話しばかりで、結婚のことはうわの
空の彼になんか隠している？とちょっと不安。
そんな内情など、つゆ知らぬ事務所担当達。チーフの不在もなけなしのアイデアで
なんとかしようと「夏だ、かかってこい！！」と勘違いコピー。ダメダメ君も首を
かしげな。やっとチーフ帰還（中略）でも、だめはだめ。煮詰まりどん詰まり。
できりゃ、〆切まで苦労しませんて。
雷雨で停電のなか、ダメダメ君とすれ違いを嘆くお手伝いの子。秘密を告白のダメ
ダメ君の話をたまたま居合わせたチーフが聞いてしまう。コンセプト変更、そのことを
同僚に知らせると、大騒ぎに。個人的事情で巻き込まれて怒り、つうより困惑
どないするんじゃい。恥も外聞もなく、もう土下座せんばかりにお願いするダメ
ダメ君。お手上げですわ、事情をあんたの上司に説明するしかない。そうですかと
落ち込むダメダメ君。お手伝いの婚約者は左遷でも待ってると優しい言葉、２人の
世界。悪いことばかりじゃなくて、よかったね、ダメダメ君。
シチュエーションコメディ、な仕掛けに凝らず、浮かばせるのは人間模様。その
おかしさ、哀しさ。おとぼけ顔、過剰なリアクションで笑いとるけど、ギャグ
らしいギャグはなし。感情にも溺れさせず、シリアスシニカル。人情話顔しつつ
クールな視点が底にある印象。ふふーん。
なせいか、みなそこそこで抑えられ、そこが半端に感じられて惜しいねこ。もっと
みたいよ、な腹八分目な良さもわかるけど…。過剰、緻密とか一層の盛り込み、
逆に舌足らずに１時間で潔く終わらせるとか、もう一工夫がほしいねこ。
役者。くっきりキャラクタ、分かり易くて個性的。社長役・上田さんとダメダメ
顧客役・森澤さんのネガポジ対比とか。チーフ役・北村さん。ときどきどこ見てる
かわかんない、危うい加減○。もっと過剰にいかせてあげなよ、とかも思ったねこ
不可侵な不思議少女役・片桐さん。独特浮遊感が土着の野郎ども中で一層清涼。
かわいい顔でぬいぐるみパンチとか、健気だけじゃない逞しい一面ものぞかせて
ほよよ。今度「月の岬」再演にでるのね、楽しみ。
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