少年王者舘 第25回公演「自由ノ人形」
＠下北沢 ザ･スズナリ(2000/8/24-30 7ステージ)
全自由 前売2800円 当日3300円
作・演出：天野天街 作曲・演奏：長谷川久 美術：水谷雄司
音響：戸崎数子 照明：小木曽千倉 映像：浜嶋将裕
衣装：田村英子 宣伝美術：テンガイ＆カズトオ 舞台監督：篠田エイジ
制作：よろずや猫、はたのひろこ、ハタノヒロコ
出演：（裏覚えと書いたら、のくさんにメールで教えてもらい。感謝。）
松宮陽子 ：正太郎（長男？）
井村昂
：雷電為吉（雷電家当主、正太郎の父親）
白亜 ：永子（正太郎の母親）
山本亜手子 ：美智子（長女、浩宮の婚約者）
ゴロ ：乾太郎（次男？、乾電池が好き、自警団団員）
夕沈 ：平太郎（三男？）
白鴎文子 ：光子 (次女、ズボンの騎士団団員）
中村榮美子：ズボンの騎士
松田あみ ：百合
田村愛 ：スミレ
虎馬鯨 ：吉田（自警団団長）
栄美穂 ：万城目（自警団団員）
丹波純子 ：一ノ谷原子
日下部賀津子：一平
水谷ノブ ：浩宮（帝国軍人、製菓会社御曹司）
篠田エイジ：野口英世
カナタニ美弥子 ：プロペラ堂
天野天街（杉浦胎兒の今回のみ代役）：ペラペラ堂
石丸ダイゴ ：カゼ
（珠水さんは都合により不出演）
2000/8/29(火)晴れ 7:05-9:45pm(2'40) 前方より 客席満員(150人)
客層：20-30才代中心。女性過半数。関西方面の方も多そう。
客入れ：腰の低い案内が適時誘導。まんべんなく席つめ。
折込パンフ、ねこのになし。歌詞つきでちゃんとあったそう。その場で
もらえばよかった。物販。ポストカード、書籍、ビデオ、ＣＤいろいろ。
内容はよくみてなかったので？、不明。
８４年初演、第五回にして東京初上演となった記念作。当時は空多い客席に生田萬
らが寝転がってみてたとか、伝説伝聞。
舞台。錆びたトタンで囲まれ、置き去られたよな路地裏、なおなじみ世界。中央
曇ガラス引き戸の家屋。上方には瓦のひさしがちゃんとしつらえ。２Ｆ部屋はない
替わりか、両袖壁際中程が一段高く、猫の額舞台に。下手の戸板出口にはなにやら
謎めきつき。トタン壁には一部高年齢層以上に懐かしい、ブリキ看板いろいろ。
オリエンタルカレー、リスカレー、アースのかとり線香とか。床は土色、ことさら
に地面な感じ。
お話。昭和20年代、五人家族の雷電家に一条の閃光、広島原爆投下。その業火に
粒子にまで分解された家族達とご近所。夏の晴天に心浮き立つ少年少女の、放火魔
な志しも逆説に滅びを忘れたい心の息子・正太郎の、下司な華族に玉の腰、抱く
疑問も高揚に自分を騙す姉の、すべての愛しきもの一切の「おしまい」。未来は
なきそこまでの、過去と現在間を逆回しに描く、すばらしい「はずだった」夏の
一日。傍若無人な黄泉の者？未来人？の予言を忍ばせつつ。
軽くねこ興奮、の独特グルーブ。はなおすばらしく、近年最高の充実。公演前半に
ありがちな、不出来な危うさは微塵もないツアー最終。タイトでスピーディな展開
、多量のイメージとモチーフを天衣無縫に紡ぎ、もう唖然圧巻。老若役者もバランス
よく好演してナイス。もう嬉しくて、脳内鯛平目舞い踊り状態ねこ。
お馴染みのコラージュというより。モザイク不思議演劇、なおなあ。暗転毎にいきつ
もどりつ姿を変える場面の自在さ◎。伏線というより浸食ともいえる、あれこれ
終わりの予兆（記憶か）の現れにうむむ？！。台詞出とちりも含め、メタシアター
というより世界を鳥瞰する視点もまた、むむむ。感嘆しつつ、楽しむねこ。
何考えてる？な愛すべき、とんまキャラ、所作も過ぎるくらいに程良く。少年少女
隊の不器用な怪しさ。脳軟化な超長リフレインシーン。頬かむりでヒゲ、笛拭く
おやじ少女、乾電池で動きたい少年らのラブリーな胡散臭さ、とかとか。
菊の紋つけた、やんごとなく出の軍人周辺に毒ある笑い。品格の合間に下司ぶりを
隠そうともしない、狂気と醜さ。表向きはエキセントリック過ぎて、すっとこどっこい
なのに思わず笑い。紋付きラジオを初め、あれこれバックグランドをおいて、
あの時代描写。共、軍人本家が供するガムに放射性毒？、地中にはなにかまがまが
しいものが埋まっている？の脅威、不気味に。すげえ危機や終末が間近にあるのに
のほほん一見な舞台は、まさに現代社会の風刺でわ、と評論ぽく思ったりもするねこ。
と、毒や風刺を散りばめても、それを含めてすべては愛しい。終幕の「おしまい」
は童話の本を閉じるよに唐突。ともかく絶対になんもない「おしまい」なのが
すごい。そこな怒り、悲しみを超過した虚無感、見つめる理性ある視点に何度目か
のうむむねこ。
役者。いいなあ、みんなあ。ゴロさん。嬉しい怪演なおいっそう。乾電池へ寄せる
よくわからん愛情に微笑みねこ。松宮さん。堂々。やってこない夏を詠う長台詞が
切なく、涙する昔少年ねこ。夕沈さん。和むかわいさ。中村さん。長駆でかっこいい、
クールな物言いが素敵。水谷さん。臨界状態の切れ具合◎。みためも相変わらず
グー。石丸さん。ヒゲおやじ怪演好演。珠水さんとダブルでしたら、なんか
すごいのにと無い物ねだりねこ。天野さん。代役、出に客席から微笑み。台詞
忘れもさらっとこなして、余裕のかっこよさ。
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