芝居屋坂道ストア 商品13号「あくびと風邪の威力」
＠下北沢 OFFOFFシアター(2001/2/16-18 5ステージ)
＠神戸 2/9-12
全自由 前売2,300円 当日2,500円
作・演出：角ひろみ 舞台監督：永易健介 照明：吉本有輝子[GEKKEN staff]
照明操作：福山和歌子 美術：清花也 音楽：大木なつ美 音響：栗田有紀子
小道具：澤田明子 衣裳：角ひろみ、森井陽子 宣伝美術：横山太一郎[imedia]
制作：岡知美、大木なつ美、大西美穂
出演：
岡知美 ：水島直（なお 主人公、半端にしてる子)
大木なつ美：尾崎涼子（涼ちゃん なおの元同級生。転校生)
大西美穂 ：川辺真紀（カワベ なおの元同級生。タイガース入団希望の女の子)
森井陽子 ：上月亜矢（亜矢さん なおの元同級生。酒屋の娘、学級委員)
角ひろみ ：時津利栄子（時津 なおの元同級生。合唱が嫌)
本多真理 ：片桐先生（キリコ 保健室の先生)
日名子知佐：その助手
荒木由香 ：その助手
宇田尚純（客演)：森先生（モリゴン 担当、国語教師)
2001/2/18(日)晴 5:07-7:05PM(2'00) 後方より 客席超満員(140人)
客層：20才代中心に幅広く。男女半々。
客入れ：3F劇場から、1F道路際まで行列。各階に係員常駐して案内。ただ見てる
だけの人もいたけど。荷物預かり事前にあり。椅子とベンチシートは後方3、桟敷
前方6。軽くよいしょ詰め数回。立ち見なしで収まり。予約分のみで当日券なし。
予想外の盛況故。折り込みパンフ（A4を三つに折り畳みサイズ)。挨拶、キャスト
スタッフ、予定掲載。
ひさびさにみるねこ。東京初進出は３演の代表作にて。窮屈な桟敷席客からも
二度のカーテンコール後、名残の拍手止まず。今回好評に急遽秋の東京公演決定。
東京の演劇ファンにしっかり迎えられて、よかったね。
舞台。瓦礫、廃品に囲まれた隠れ家状。サッシ枠に枯れ枝状電線がはう壁。所々に
回路基板のスクラップ。上手下手に焼け出されたような、原付バイク残骸。下手に
ペインティングされたオルガン。大型のパラボナアンテナが横たわる床は一面
ビニールシート。
お話。なんとなく無為に生きてる、なお。明日は小学校の同窓会という夜。
なおはかつてのままで、でも大人でもある同級生と出会う。神戸の惨過、あの時に
逝ってしまった彼女ら。よみがえる、つまらない子供の日常、でも宝石と輝く記憶。
恋の告白、適わない夢と現実の狭間の進路相談。揶揄、嫉妬、自閉の幼い心。
初めてワインを飲んだときのよう、後ろめたさとときめきをまぜこぜに、記憶の
タイムカプセルを掘り起こす、一夜の出来事。
瑞々しく、生きている言葉と役者。かつて日常と内省の舞台をみた目には見違える
ほどの躍動感。なんかわくわくと嬉しいねこ。とりわけのラスト。「威風堂々」の
ＢＧＭ、風を切り天駆けるよに夜を疾走するバイクでの爆走シーン。なおの、見る者
の背中をやさしくも、力強く後押しする力あるアンサンブル◎。
すべてに注がれる愛情。愛しい世界の中で死は生き、記憶の中で私達と共にある。
登場人物それぞれに物語られる、当たり前すぎる幼い日常。その素晴らしき平凡、
星月夜とミジンコ、その間にいる人間らがみな輝いていた世界。そこから遠く、
あの時の死亡者名簿を連ねたＴＶに抱いた虚無感のまま、凍えてしまった主人公
なお。愛しい世界、輝く平凡との再会は彼女の心を解かしていく。
喪失の悲しみを忘れることはできない。でも、記憶はいつも私達の応援小旗と
して、共に生き残っていく。逝った者達への鎮魂歌としてより、彼女らからの、
きばりや！な応援歌として、この舞台はある。それを実感させてくれる、活きた
ステージングがなにより魅力ねこ。
役者。岡さん。痛々しさと共に希望を感じさせる、遠くを見る瞳。なんかもう
心ゆすぶられるねこ。派手さ、巧みさはなけれど、得がたい魅力あり。大事に
したい役者さんなり。ゲスト宇田さん。ピスタチオ全盛時代を思わせるハイテン
ションナな動きにわくわくねこ。まけじとがんばる、他役者たちもいい感じ。
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