青年団 第41回公演「上野動物園再々々襲撃」
＠三軒茶屋 シアタートラム(2001/5/23-6/3 16ステージ)
＠利賀(4/28-30)
全指定 前売当日とも4000円 前売学生2500円 前売高校生以下2000円
原作：金杉忠男 脚本・構成・演出：平田オリザ 美術：杉山 至×突貫屋
装置：鈴木健介 照明：岩城 保＋ＺＥＳＴ、西本彩
イラスト：マタキサキコ 宣伝美術：太田裕子 制作：澤藤歩
出演：
篠塚祥司［旧金杉アソシエーツ］：同級生 藤崎次郎
猪股俊明［旧金杉アソシエーツ］：一年後輩 中川義男
大塚 洋 ：後輩 市川祐介
志賀贋太郎 ：同級生 吉田忠男
羽場睦子［旧金杉アソシエーツ］：その妻 吉田佐代子
大崎由利子[旧金杉アソシエーツ］：同級生 北本菊子
辻美奈子 ：その妹 北本弥生
山内健司 ：後輩（喫茶店マスター）佐々木次男
天明留理子 ：その妻 佐々木清美
足立誠 ：後輩 門田孝史
和田江理子 ：その妹 門田由美子
松田弘子 ：増本の妹 柿崎郁子
安田まり子 ：喫茶店のバイト 香山早苗
谷本進［旧金杉アソシエーツ］ ：喫茶店のバイト 細川大介
木崎友紀子 ：吉田の娘 山下優子
安部聡子 ：草木染めの先生 津田敏江
平田陽子 ：草木染めの生徒 赤松理恵
高橋縁 ：近所の人 中島
2001/5/27(日)小雨 3:05-4:45PM(1'40) 中段より 客席８割(150人)
客層：老若男女。おじさん多めの大人客席。
客入れ：当日券有り（後方に空席）。折り込みパンフ。配役、作品について
予定掲載。戯曲掲載雑誌販売。
「原っぱ」演劇・中村座時代作品、金杉忠男氏の断片的遺稿、をコラージュしたとか。
旧中村座役者も参加、20〜50才代の幅広い年齢層は、文学座上演とか新劇な趣。
舞台。斜におかれた喫茶店の張り出し島舞台（客席3列撤去）。木造の落ち着き。
旧家な商家だったのか、黒い梁に菱格子の鴨居一部を頭上にみせ。下手に五人かけ
椅子があるカウンター。酒類なく、純喫茶を伺わせ。中央から上手に丸テーブル１
菱形テーブル２。ゆったりとカーブを描いた籐椅子。手作り風クッションアット
ホーム。上手、手前に緑の生け花、慎み深くも舞台に生気を与え。正面の背後壁部
は白光に包まれ、廊下下手の染め物のれんから二階への階段、上手に入口の設定。
中村座舞台の「突撃板（文字通り）」はなし、上手端の黒々とした空きスペースに
無き様を思い描いたりねこ。
お話。小学同級生の告別に故郷・四つ木橋に集まったかつての少年達。近況の中に
年くえばな生死消息、変容してく故郷。とどまったもの、離れたもの、それぞれの
しがらみな人間関係。そこでちょっと意気消沈も、やんちゃな思い出話に賑わう心
学芸会の劇練習、本物のラクダに乗りたい！！少女の願いに、上野動物園に忍び
込んだ事件は取り分け。初老にさしかかり、へこみ気味の生。出会いは彼らを
蘇らせ「再々襲撃」をならしめるのか。２０あまりの場景オムニバスからなった中村座
スタイルは踏襲せず、一つながりの時間で構成。
辛い現実、夢のようなラスト。80年代を望みつ「演劇的」味わい、が青年団だけど
ちょっと違う平田作品。友人達との思い出話と懐かしい歌、死者との対話、果たせ
ない（けどそうとも言い切れない曖昧な）再会、和解。と、あのころと今の出会い
あれこれ。
記憶を郷愁からでなく、今の醒めた視点でみつめ、シビアで理性的。一番近しい
身内にある記憶が現実には一番遠いという悲しさ。その現実をみる者の人生な物語
に胸痛く共鳴させて、残酷。中村座時代の役者達を配し、舞台の記憶も重なって
（総出演でないことも）、たまらないものがあり。共、哀切を知る人の慈しみも
慎み深くあり。ラクダの旅を幻視（現と夢のあいまいに）するラスト。哀しみに
裏打ちされた、刹那の幸福感にしみじみねこ。
「再襲撃」では、少女の死がかつての少年達を蘇らせた。この舞台の「少女」は
望みから遠い。ため、同級生に嘘をつき、「現実に死んでる自分」を隠そうと
する。彼女は蘇らせたのは、ほかならぬかつての少年達、そして自分自身。
「再襲撃」のお返し、同時代人への贈り物のようで、胸にきたねこ。
やんちゃでおばかな素敵、荒くれながら、澄ませた想いをみせた中村座。
外観は中村座と違うけど、その胸騒ぎとうわずみな感触は同じ印象。感慨ねこ。
役者。篠塚さん。実年齢ならでわの役柄にしみじみねこ。大橋さん。いつまで
たっても姉御肌なのがうれしい。志賀さん。いい声の歌が耳にうれしい。すった
もんだの訳あり役、とまどう様がはまって○。松田さん。弔辞するたまらない役、
素直らしい泪に好演。平田さん。久々。みられただけで○。
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