新国立劇場 シリーズ「現在へ、日本の劇」１「ピルグリム Pilgrim」
＠初台 新国立劇場中劇場 PLAYHOUSE(2003/1/14-2/2 22ステージ)
http://www.nntt.jac.go.jp/
全指定 前売り当日とも S席7350円 A席5250円 B席3150円
作・演出：鴻上尚史 美術：松井るみ 照明：坂本明浩 音響：堀江潤
衣裳 ：原まさみ ヘアメイク：河村陽子 演出助手：黒川竹春
舞台監督：飯田貴幸 芸術監督：栗山民也 主催：新国立劇場
出演：下記
2003/2/1(土)快晴 6:05-8:21PM(2'13) 後方より 客席9割（1100人）
客層：老若男女、女性過半数。20歳前半女性が最多。
客入れ：当日券不明。無料パンフ・ステージノート配布。物販。パンフ(B5 40ページ
800円）種々対談。第三舞台年表付き。終演後、戯曲本に鴻上氏がその場でサイン
してくれ。
新国立の新シリーズ（復古上演？）第１弾。80年代終わりに上演された、第三舞台
作品。再演。
舞台。主人公の家場面は机にノートＰＣのみ。背後はエンジ色のエンボス？地壁
一面、上に細長い明かり取り窓。開けて、ピルグリム（巡礼）な物語世界。劇場の
長大な機構にのせて、後方から大階段やオブジェ装置が登場。
お話。落ち目の小説家・六本木は、編集・朝霧の提案で気に掛けてた題材での最終
小説を書くことに。小学校の卒業文集で鈴木？という子が書いた、謎の黒マントの男が
登場する、オアシスを探す人達の話。六本木はその子のことを思い出せないと一瞬
悩むが、さておいてノリノリで執筆開始。いつしか、小説の世界は六本木を飲み込ん
でしまう。キャラバンは恐竜（地球歴史規模）の哀しみに押しつぶされそうになったり、
鏡な裏の自分がつくった理想と表な現実のギャップに悩んだりしながら、オアシスに
到着。途中、具体的に役に立たない、旅の水先案内人・黒マントの助言？を得ながら。
でも、そこは理想郷ではなく、六本木がかつてかかわった共同体の残骸。なんてこっ
たい、な記憶は醜いもの。融和せんがために生け贄を選んでは、追放を繰り返し、
ついには自滅した共同体。彼らが次に選んだ生け贄は、六本木。卵形のオブジェ、中
からご神体＝同級生・鈴木？が登場。彼女が語る辛い記憶。六本木と彼が恋した女の
子、自分の三人の幼い「共同体」。六本木の恋のために、自分が生け贄＝のけ者に
されたこと。鈴木？とともに封印してきた、共同体崩壊の記憶を思い出した六本木は
（物語世界で）自殺。鈴木？の物語は続く。六本木達から追われた彼女はとあるオア
シスにたどり着き、力尽きてしまう。旅人達は残された日記を読み、立ち寄った先々
で彼女の噂を残していく。ネットワークという共同体で、彼女は仄かな噂という形で
あり続けるのだった。
変わらないのがうれしくも、痛々しい。共生をテーマ、シリアス顔を照れ隠しする
よにポップな装い、ギャグで笑い、かっこよさげダンス。今回はスリルなフライイン
グ、ダイナミックな動きの舞台を加味してサービス。メタファー前面の物語、言葉が
どんどん先行する進行は、見た目のわかりやすさと相反。言葉に込められた思いを
汲み取るには、観客に挑む気持ちが望まれ。80末〜90年代当時な雰囲気の舞台と、
コンビニ好きの客席との距離感を感じさせて、うーんねこ。なんか「一人舞台」に
いたたまれず。新しい共同体の可能性を、伝言ダイヤルからネットに改めたけど、
その成立の手応えを舞台からは実感できず。これもまた距離感。なんとかしてほしか
ったなあ、と思うねこ。
でも、鴻上さんの言葉（会話）はやっぱり素敵。孤独にふれてヒヤリとも、優しく、
心震わされるねこ。ペンギン（富田）と奴隷族の会話とか。あなたは優しい人だ＞
それは誤解よ＞わかってます（と２人微笑み合う、みたいな感じの）。どうしても
分かりあえない私たち。携帯電話やネットが発展しようが変わらない孤独（アパート
サイズから宇宙サイズの中の自分になるだけ）。それを知っている者通しの切なく、
暖かい共感の結びつきが随所にあって、しみじみねこ。それも深く理解していること
が伺える、富田靖子さんの演技あってのこと。と、素晴らしいとこがあるにつけ、
なんとか以下同文。
役者。山本さん。軽やかな身のこなしに、ほー。切なくて、コミカルな演技が素敵。
大森さん。お惚け素敵なおじさまぶり○。右近。硬質な声が…、相性もひとつかも。
初演 今回
第三舞台 新国立劇場
第22回公演 「現在へ、日本の劇」１
1989/9/11-10/14 2003/1/14-2/2
36ステージ 22ステージ
スペースゼロ 新国立劇場中劇場
1989/10/18-29
？ステージ
近鉄アート館
全指定3500円 S席7350円
上演2時間 2時間10分
作・演出：鴻上尚史 ←
美術 ：石井強司 松井るみ
照明 ：丸山邦彦 坂本明浩
音響 ：松崎俊章 堀江潤
衣裳 ：古池慶次郎 原まさみ
振付 ：川崎悦子
演出助手：板垣恭一ほか
出演：
六本木実篤 ：小須田康人 市川右近
直太郎 ：勝村政信 山本耕史
朝霧悦子／グッド・モーニング：長野里美 富田靖子［ＨＰ］
原隆三郎／ハラハラ ：伊藤正宏 佐藤正宏[ＷＡＨＡＨＡ本舗]
浦川／ウララ／テンクチャー ：山下裕子 山下裕子［サードステージ］
マッド・サイエンティスト ：筧 利夫 天宮良
タンジェリン・ドリーム ：筒井真理子 宮崎優子
きょーへい ：京 晋佑 高岡蒼佑
ニュー・プランター ：利根川祐子 三国由奈
黒マントの男 ：大高洋夫 大森博
街の人々：福永吉洋、中田由記、芦原由幸、田中里佳、古屋純一、
土屋美穂子、岩本えり、太田緑、山田純子、森田祐一、芳賀淳子
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