松竹製作 ｢おはつ」
＠東銀座 新橋演舞場(2004/1/2-27 26ステージ)
http://www.shochiku.co.jp/play/
一等席12600円二等席8400円三等席Ａ4200円三等席Ｂ2520円桟敷席13650円
脚本：マキノノゾミ[劇団M.O.P.] 演出：鈴木裕美[自転車キンクリーツSTORE]
美術：松井るみ 照明：中川隆一 効果：井上正弘 衣装：宮本宣子
ヘアメイク：河村陽子 殺陣指導：川原正嗣、前田悟 方言指導：大原穣子
所作指導（お初）：中村千彌 演出助手：坂本聖子
舞台監督：菅野将機、朝香哲哉 演出部：赤羽宏郎、宇野奈津子
制作：岡崎哲也ほか 制作協力：パルコ 製作：松竹
出演：
松たか子 ：お初（大坂新町「かや乃」女郎）
佐々木蔵之介：直助（醤油商「橘川」手代、正太郎の友人）
小市慢太郎[劇団M.O.P.]：正太郎（油商「菱屋」の跡取り息子、お初の馴染み客）
渡辺いっけい：近藤勇（「新撰組」局長）
北村有起哉 ：沖田総司（「新撰組」副長助勤）
佐藤江梨子 ：深雪（大坂新町「かや乃」女郎）
歌川椎子[ジテキン]：おもん（「かや乃」内儀）
八十田勇一 ：大兵衛（「かや乃」主人）
江波杏子 ：おれん（私娼）
武田浩二 ：平間重助（水戸脱藩藩士）
田鍋謙一郎 ：鍵屋万助（大阪市中警護役）、竹三（若い衆）、菱屋手代、あめ売り
福井貴一 ：丑松（鍵屋万助の手下）
平田敦子：梅次（若い衆）、正太郎の乳母、万助の女房、飴売りの女房、遊女
松島正芳：松吉（若い衆）、菱屋丁稚
2004/1/11(日)晴 12:01-3:43PM(66/休32/66/休21/34)1F前方 客席9割(1300?人)
客層：20-30才代最多に老若男女。女性7割。女性のお友達連れ多し。
客入れ：当日券不明。2,3階席も結構埋まっていた模様。12時開演だと、1時過ぎの
食事休憩が中途半端。もっと半端なのは2幕後の休憩。一気にやってクレヨン。
チラシ置きあり。物販。パンフ(B5 1300円)半分は広告とか。佐々木酒造（佐々木
蔵之介実家）吟醸酒「おはつ」(700,1500円) ポスターは売り切れ？。1階だけかも
しれないけど、エアコン寒くて△。なんとかしてほしいねこ。
中規模以上劇場で引っ張りだこな、マキノノゾミ脚本を、同様な鈴木裕美が演出。
舞台。これも引っ張りだこの松井るみ美術、らしい工夫あり。いくつも柱、横に渡さ
れる巨大な帯留めなロープの縦横空間。二本の柱にのれんをおいて門、あまたを降ろ
して林と、柱の配置で種々見立て。回り舞台も適度に使って装置入れ替え。演舞場で
暗転なしのスムースな転換を実現しててさすが。赤格子、本水らも絵柄上アクセント
として使用。
お話。幕末、大阪。茶屋女・お初は病のぎりぎりに願い、死ぬ前に運命の恋をしたい
あこがれるは曽根崎心中の二人。彼女の贔屓に、ぼんぼんの正太郎。病を知らず、
本気で身請け希望。準備万端と望んだら、横やりが。新撰組・近藤局長がお初を気に
入り、潤沢な資金を私用してとんとん身請け決定。ふざけんなと拒否する恋の盲目・
正太郎。彼の幼なじみの手代・直助、侍の理不尽さに我慢ならず、切れてしまう。
というのも、昼間、浪人風の男に因縁をつけられて殺されかけ、これを返り討ちに
した勢いがあるため。やっちまってたぎる血は収まらず、近藤らに勝負を挑む。これ
が後戻りできぬ恋の始まりと、友情の終わりになるとは、その時は知らずに…。
柄になく青春暴走する、若くもない二人。墜ちるほどに活き活き、破滅的哀感漂い。
そんな、うへえ〜なべた話も、役者芝居で嫌み寸止め。で、それなりで留まってしま
った仕上がりには惜しいなと思うねこ。美術の工夫とメリハリある演出で、おおむね
テンポよく進行。語りすぎで時々冗漫に感じさせる脚本をカバー。二幕目の中途半端
すぎるよぉ！休憩はこまりものだけど（演舞場の決まり事なの？）小劇場役者が大挙
して出演、ここは本多劇場？！な錯覚状態。おかげか？商業演劇中堅な渡辺いっけい
さんの出番少なくて、芝居も小さいのはイタダケなし。
イタダケないのは、眼目の恋の暴走機関車な二人。狂恋に恋するお初、ぷっつん切れ
て、鬱憤はけ口探しの直助。パンキッシュな二人の結びつき、その切実さのほどが
わかんないねこ。いい年して、分別あるのに迷惑行為する、困った人達ってだけに
見えちゃう。同情の余地なし、ていうか。松たか子の強欲な目線、佐々木蔵之助の
憑かれたような有様がさかしまにものの哀れを誘ったり、と役者芝居の魅力は存分に
あるけど…。なんかボタンを掛け違えた違和感があるねこ。いい人な役柄が多い、
蔵之助が、惑星ピスタチオ自体の切れを見せてくれるのはうれしいけど…。
けどと言えばもうひとつ。ほとんど最前列で見たせいか、血のりの多さにくらくら
ねこ。熱く見せたいのはわかるけど、やりすぎ？。胸元を汚したまま衣装で松たか子
にカーテンコールさせてるのも、イタダケないし。
役者。サブキャラ達を見るだけでもいいかな、な美味しさあり。小市慢太郎。どん
どんかわいそうになる優しい人を好演。彼に目もくれないお初は間違ってると思い
ます（きっぱり）（32才主婦談）な、善人ぶりに同情。北村有起哉。一番美味しいの
が彼。飄々としてるのに、やるときはやる、でもって怖いとこもある。なるほど沖田
総司キャラ。江波杏子。悪びれない男勝りのピカレスクぶりなんに、意外にも沖田に
恋慕する女な面もみせるお姉さんを巧みに演じ。佐藤江梨子。飛び抜けることなく、
きっちりお仕事。ちょっと見直すねこ。
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