シアターコクーン/Bunkamura製作「カメレオンズ・リップ」
＠渋谷 シアターコクーン(2004/2/6-29 28ステージ)
全指定 前売り当日とも S席9000円 A席7000円 コクーンシート4000円
当日立ち見 M2階4500円 3階4000円
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/
作・演出：ケラリーノ・サンドロヴィッチ［ナイロン100℃］
音楽：伊藤ヨタロウ 美術：中越司 照明：原田保 衣装：前田文子
音響：水越佳一 ビューティー・ディレクター：柘植伊佐夫
映像：上田大樹、新見文 殺陣指導：田尻茂一、川原正嗣、前田悟
演出補：福澤諭志 演出助手：山田美紀 舞台監督：青木義博
宣伝美術：永石勝 プロデューサー：加藤真規、熊谷信也
制作：松井珠美、町田直子 企画製作：Bunkamura 主催：TBS、Bunkamura
出演：
堤 真一 ：ルーファス・Ｔ・ファイアフライ（山荘の主）
深津絵里 ：ドナ（その亡くなった姉）、エレンディラ（ドナにそっくりの使用人）
生瀬勝久 ：ナイフ・ハーフムーン（ドナの亭主）
犬山イヌコ［ナイロン100℃］：ガラ・トメート（元使用人）
山崎 一 ：ルドルフ・ハッケンブッシュ大佐
余貴美子 ：ビビ・シングルカスク（化粧品会社の社長）
木村 悟 ：モーガン・スーパーブレンド医師
林田麻里 ：シャンプー・ニューワース
2004/2/14(土)晴 2:03-5:17PM(1'53/休15/1'04) 2F最前列 客席超満員(810人)
客層：20-30歳代最多に幅広く。女性7割。ナイロンより大人客席。
客入れ：当日券。補助椅子と立ち見で60席以上？。開演10分前でも2F立ち見席に残席
あり。舞台配置から芝居頻度が高い下手側が見やすい、上手席のがいいかも（でも、
上手端だと庭の装置が見難いらしい。うーん悩ましい。）
夜の部の待ち列は4時間前で10人、1時間前は確認できず(階段上方）。カーテンコール
2回＋粘ってKERAを呼んでもう1回で2分。
折り込みパンフなし。物販。パンフ(A4 36ページ 1500円)深層心理テスト付き。
Ｔシャツ 5色 1800円。
KERA作品、一般演劇ファンお披露目な初コクーン上演。贅沢な出演者も話題。
舞台。谷間の庭付き洋館。上手にブランコ、ベンチ、水道蛇口がある芝生の庭。奥に
ベンチ、手前に白いテーブルと椅子。周囲は木立と高い石垣に囲まれ。石垣の上に
小道、弧を描いて下手に消え。下手半分に晒した色合いの白い二階建て洋館。屋内外
を回転展開。
お話。先行作の地名登場で、KERA仮想世界シリーズと知れ。大嘘つきの姉が亡き
（自殺？）後、一人暮らしのルーフェス。は姉そっくりの使用人エレンディラと2人
そこに姉の夫と元使用人が訪ねてくる。姉の弔いについての相談。ところがこの2人
、腹に一物あり。社長な雰囲気の女と銃を持った男が加わり、たくらみな筋書きは
思わぬ処に転がって…。
キリッと仕上げた奇妙な味、KERA果汁30％。しつこくなく、のみやすくな（従来比）
悪意や暗惨たる展開は控え目。出鱈目や不条理、時空交錯等でぼわわーんと煙に
巻かれる進行もほとんどなし。判りやすく、タイトにさくさくと進む物語。「冗漫な前半
（朝日新聞2/14夕刊）」や、後半のマジックリアリズムな描写とかなければ、KERA
作品と思わないかも（言い過ぎ？）。行きつ戻りつ、ゆるいブラックなスラップスティック
が持ち味のナイロン公演好きには、どうよ？なとこあり。また別のKERAの顔が
みられて、面白くみれたねこ。
それでもゴージャスで端正、高級寿司店のねたみたいな実力派役者を文句なく堪能。
華と美しさのほどは、ジャンクフード（言い過ぎ？）なナイロン公演じゃ望めないもの。
堤さんと深津さんの美しいアンファンテリブル・ペア、堤さんと生瀬さんの危ない男の
色気ペアとか、単品よく、組んでなお素敵。きっちり仕事の余、山崎、犬山はさすが。
登場人物は嘘つきばかり。しかも自分を偽り、それを受け入れている困った人達。
妄想、人形というマインドフレンド、独り言、演ずることをよりどころとするなど。
その切実さと危うさ、哀切と滑稽さの現れを興味深くみるねこ。真実のような嘘、
嘘のような真実が去来する「演劇」と「観客」の関係も重なってみえて、ふーむ
ねこ。
予定調和を嫌うKERAらしい、不合理が全編。ミステリー仕立てとはいえ、解決を
みない「藪の中」状態。映画なら、ハリウッドでなく、ヨーロッパのもの。コクーン
仕様とはいえ、曖昧な現実を見据えた醒めた理性や、自己スタイルにこだわり、
矛先を収めない反骨の気構えが伺えて、うーむねこ。
役者。深津さん。のためにある作品といっても過言でないミストレスぶり。リピート
したくなったねこ。堤さん。むしろストイックで欲求不満なお姉様がいるかも。
生瀬さん。逆に色気、男気を発散。余さん。すっかりコメディアンヌ。チェーホフ
ねたは演劇ファンに好評。山崎さん。なんか、実はダメな男ぶりがいじましくて○。
犬山さん。ものの哀れを感じるねこ。
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