AGAPE store ＃8(G2P）「しかたがない穴」
＠新宿 紀伊國屋サザンシアター(2004/3/2-10 11ステージ）
http://www.kinokuniya.co.jp/05f/d_01/hall1index.html
全指定 前売4500円 当日4800円
作：倉持裕［ペンギンブルペイルパイルズ］ 演出：Ｇ２
美術：加藤ちか 照明：黒尾芳昭 音楽：Ｇ２、山内圭哉 音響：内藤勝博
スタイリスト：内村淳子 演出助手：高野玲 舞台監督：村岡晋 衣装：桑原理恵
宣伝美術・パンフレット花写真：東學 制作：尾崎裕子ほか
プロデューサー：大西規世子 製作総指揮：Ｇ２
企画：AGAPE store 主催・企画制作：ジーツープロデュース
出演：
松尾貴史 ：蜂峰（ガルガル語通訳）
秋本奈緒美：恵美（ノンフィクション・ライター）
山内圭哉[PIPER] ：天川（恵美に同行しているカメラマン）
松永玲子[ナイロン100℃] ：留里子（医師）
小林高鹿[ペンギンブルペイルパイルズ] ：佐藤（研究所・宿泊施設案内役）
2004/3/5(金)晴 7:05-8:52PM(1'42) 中段より 客席9割(400?人)
客層：20才代女性7割、あとスーツのサラリーマン。おじさん結構。
客入れ：当日券あり。後方席に空席結構。張り出し舞台、2列目が最前。客入れ時に
図形を壁に投影、親切だけど最初からねたばれ。折り込みパンフなし。
物販。パンフ(A4 30ページ 1500円)。東學の耽美デザイン。ねたばれページあり。
ほか、キッチュの不謹慎なＣＤなど。カーテンコール5分と、いつも通り長めにおし
ゃべり。
岸田戯曲賞とったりと、一般演劇ファンにも知られたしられた倉持裕最新作。
舞台。上から見れば二重の六角形、その中央と頂上部で渡った回廊の半分。二重壁の
間には面ごとに仕切られた６部屋がある設定。ドアは部屋間通しと、中央ロビーに
でる側にあり。回廊には床からハシゴがかけられ。壁はブロンズ色で無機質な印象
柱の暖色系ライトが唯一柔和感を醸し。調度は三角形のテーブルと直線的フォルム
の椅子だけ。
お話。南米にある巨大な穴。日本と共同の調査団が結成されるが、現地を目の前に
して当地の学者１名を残して、なぜかみんな戻ってしまう。やむなく居残りするのは
、通訳、医師、ルポライター、と調査に直接関係のない連中ばかり。事情を聞こう
にも、当地の学者は事故で意識不明、お手上げ状態。宿泊する研究所の施設は、管理
きびしく、衣装や部屋は支給分のみで完全に統一され、識別困難。さらに甲斐なく
過ごす日々に自己喪失を危惧しはじめた一同は、狂い気味にでっち上げを始めて…。
仕込み、絡ませ、なんじゃこりゃの放置プレイ。アイデンティティを問う古典テーマ
を理詰めの状況設定と不条理な背景から描いて、ふふーんな佳作。しだい明らかと
なる状況の秘密は、パズルを解くような面白さあり。よけいな親切心から、建物の
構造模式図を投影しちゃたＧ２はもう無粋。後半、狂気を帯びた行動は表面的描かれ
て、あんま掘り下げず（唯一、松尾さんが役者芝居で結構補完）。その分、仕掛けた
動機が見えない不気味さ、不条理さが浮かぶ格好。なんだかんだとやられて、取り
残される不穏さ、不安感にふむむねこ。
役者。松尾さん。彼にしてかなり控えめなねたふり。「だれも知らない言葉の通訳」
を美味しく頂いて、こまめに笑わせ。後半、静かに狂っていく様を真摯に演じて○。
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