＠新宿 紀伊國屋ホール(2006/9/1-29 33ステージ) 9/14mアフタートーク
http://www.kinokuniya.co.jp/05f/d_01/hall.html
全指定 前売・当日とも6800円
作・演出：青木豪[グリング]
美術：二村周作 照明：小川幾雄 衣装：前田文子 音響：加藤温
ヘアメイク：綿貫尚美 演出助手：坂本聖子 舞台監督：瀧原寿子
チラシ・画：塩崎 顕 プロデューサー：北村明子 提携：紀伊國屋書店
企画･製作：シス・カンパ二―
出演：
杉田かおる ：岡田（飼育員）
高橋克実 ：菅原（動物園副園長）
マギー ：小森（飼育員）
小松和重 ：宮村（飼育員）
明星真由美 ：那須（アルバイト）
段田安則 ：越野（カメラマン）
池谷のぶえ ：立川（クレーマー）
安田顕[TEAM NACS] ：江藤（ビデオ屋アルバイト）
2006/9/2(土)晴 7:00-8:37PM(1'36) 前方中央 客席ほぼ満員(400人)
客層：20-30歳代中心に幅広く、女性過半数。
客入れ：きっちり定時に開演、遅刻厳禁。当日券あり、補助椅子なし。
折り込みチラシそれなり、折り込みパンフA4 1枚に配役スタッフ。
物販。パンフ A5 22ページ オールカラー 500円。あいさつ、役者ページ、
稽古場日誌、青木豪×八嶋智人対談。カーテンコール1回1分。再登場への
未練拍手がしばし。
今冬、紀伊國屋公演予定の丁寧な胸騒ぎ芝居・グリング 青木豪の書き下ろし新作。
ベテランの濃口役者陣にヒロイン杉田かおるを迎え、報道はもっぱら彼女周辺。
舞台。動物園の片隅、管理事務所。すり鉢状の底にテーブル、自販機。周囲の柵は
倒れ込みそうに斜めって、不安感醸し。解消するように？、下手に動物の巨大人形
(裏)、下手に小風車。その脇、2階建ての色あせた木造管理事務所と物見台。
お話。廃園の噂も流れる小都市の動物園。獏の誕生日イベントの準備をする飼育員
達。平穏な仕事風景だが、それぞれに抱えたものあり。仲間に内緒で職場内恋愛、
結婚を考えるとすんなりとはいかず。やってくる怪しい人達、動物愛護のクレーマー
、近くのビデオや店員。彼らのなにかしがらみがありそう。小さなばたばたあれこれ
のところへ、バツイチ女性飼育員と縁がある男・越野がやってきて。
地味も滋味あるハートウォーミング。優しさだけじゃない、有為転変の人生を踏まえ
た確かな温かさ。その感触が観客の人生と触れて、豊かに広がる素敵。
市井の人の人生、その苦楽とほころびを重層する口語会話から浮かばせる名人・青木
豪。やわらかくわかりやすくなったとはいえ、ちと意地悪な人物設定と展開は健在。
悪い人じゃないけど、身勝手な人物ばかり。いってしまって自己嫌悪したりと感情
渦巻き、あるあるな共感を呼び。その痛みを言葉の行間に込め、常時笑いにもって
いく上手さはさすが。くわえ、肝心なところで邪魔が入る展開で胸騒ぎとハラハラ感
を増し。もういけずぅ。
できる役者陣はほどよく個性で補強しながら、ベースは日常顔という絶妙のバランス
芝居。高橋さんの押し切りたいけどできない、段田さんの和したいけどしがたい感じ
とか。その点、女性は地に足がつき。三角関係の恋愛劇と見せかけて、世間と向き
合っていく女性の自立劇としても、味わい深し。とあれこれ、お客それぞれの人生を
思い至り、楽しみなお土産がある舞台と思うねこ。
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