＠初台 新国立劇場小劇場(2011/9/20-10/10 20ステージ)
http://www.nntt.jac.go.jp/
A席6300円 B席3150円 Z席1500円 三作品特別割引通し券16600円
作：三島由紀夫 演出：宮田慶子 美術：池田ともゆき 照明：室伏生大
音響：上田好生 衣裳：半田恵津子 演出助手：松森望宏 舞台監督：澁谷壽久
出演：
國村隼 ：朱雀経隆(公爵 皇室侍従長)
木村了 ：朱雀経広(長男)
香寿たつき：おれい(おれい)
柴本幸 ：松永璃津子(長男婚約者)
近藤芳正 ：宍戸光康(叔父)
2011/10/9(日)晴 12:01-2:50PM(64/休15/79)1F最前方中央 客席ほぼ満員（310人）
客層：中年層中心の大人客席。女性8割。
客入れ：当日券詳細不明。バルコニーＺ席（50席）は満員。島舞台の正面12列、
サイド3列ずつ。床後方の絵模様は俯瞰しないと見がたいかも。ロビーにある模型で
確認するねこ。折り込みチラシそれなり。パンフなし。物販。パンフ B5 800円。
カーテンコール1回1分。
三島由紀夫1967年作品。ギリシャ悲劇 エウリピデス「狂えるヘラクレス」(妻子
殺し）を骨子にしているとか。
舞台。黒のリビング後方に、朱色の門形(鳥居)が起立する抽象装置。奥の大小違えた
踏み板を上がって、庭経由で参拝出来。客席側下手が玄関設定。光沢ある黒床には
朱雀図がグレープリント、段は朱、緑、黄と彩色され。調度はリビングの大テーブル
と椅子6、両端に籐いす。
お話。皇室に代を使えてきた名門華族家。守り神弁財天が嫉妬するのか、正妻は
早死に憂き目をみると別腹で子孫を残してきた。当主は天皇の御意を推し量っての
大仕事とともに宮仕えを辞している。周囲の意に反して、長男の出征を武人として
認め、見殺しとする。英霊としてお上の側にあればよしとの言葉を、女中おれいは
責め立てる。守り神弁財天の祟りか、おれいもまた空襲で死んでしまう。
太平洋戦争で「秩序」ある生活を奪われた華族の運命を描く。
華美修辞な前提を廃し、赤裸々に人間をさらけ出し。そのため削がれた空間美術は
シンプル至極。モノクロームに俳優をくっきりと浮かばせ、葛藤ぶりを見せつけ。
流麗な三島の言葉と狂おしい心理、当主を中心とするお上を拝する理念と現実の
ギャップ、相容れない平行線。葛藤のありさまは逆に、終始一貫している理念の
狂気を帯びた美しさ・三島美学を見せつけもし。それら体感させてくれる俳優たちの
インタープレイは緊密しごく、しっかりと手応えあって◎。
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