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 シスカンパニー「ガラスの動物園」

 @渋谷 シアターコクーン(2012/3/10-4/3 30ステージ)
 http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/index.html
 全指定 S席9000円 A席7000円 コクーンシート5000円

 作:テネシー・ウィリアムズ 演出:長塚圭史[阿佐ヶ谷スパイダース
 翻訳:徐 賀世子 美術:二村周作 照明:小川幾雄 衣裳デザイン:伊藤佐智子
 音響:加藤 温 ヘアメイクデザイン:勇見勝彦 振付:古家優里[プロジェクト大山]
 演出助手:坂本聖子 舞台監督:瀧原寿子 プロデューサー:北村明子
 制作[進行]:吉澤尚子ほか 宣伝美術平田好 提携:Bunkamura
 企画・製作:シス・カンパニ―
 出演:
 立石涼子:アマンダ.ウィングフィールド
 深津絵里:ロ一ラ・ウィングフィールド
 瑛太  :トム・ウィングフィールド
 鈴木浩介:ジム・オコーナー

 ダンサー:
 境真理恵、長谷川風立子、松岡綾葉、三浦舞子、三輪亜希子、菅彩夏政、
 岡由衣子、松井萌香

 2012/3/23(金)雨 6:35-9:23PM(73/休16/77)1F最前方下手 客席満席(740人)
 客層:20-30歳代最多に女性8、9割。
 客入れ:当日立見客の姿は見えず。通常客席。折り込みチラシそれなり。
 折り込みパンフ A4 1枚。物販。パンフ A5 30ページ 700円。読み物結構、
 座談会収録。カーテンコール2回1分。

 名作の新演出。いじれないものだと思ってたけど、やればできるものだという。
 これ輸出できないかしらん、日本だけに留めるのはもったいないとも。

 舞台。コンクリートの巨大な箱部屋。パースが効いた両壁にドア3つづつ。
 真正面に窓、下にタイプライターを置いた机。ソファやテーブルら調度類は
 壁にカメレオンなボディスーツのダンサー達が舞いながら運び入れ。
 お話。1930年代大戦前夜のアメリカ。家族を捨ててさすらう男トムの悲痛な追想。
 
 突き刺さるような生々しい痛みと悲しみ、原作を通して私たちの過酷な現実を
 赤裸々に晒す衝撃にうわーねこ。舞台は無機質な荒野部屋。仕度仕事とも登場人物
 の心理に胸騒ぎに反応するダンサーが有機的に機能。調度の配置で閉塞感を増し、
 紗幕で距離感を造出したり。空間演出も生理に判りやすくして、なるほど工夫。

 登場人物には、追想にありがちな感傷の甘さなく、ビターでスパイシー。
 世界の中心で苦境と救済を叫びつづける、母アマンダ。唇からマシンガン、焼夷弾
 をしばしば投下して、自爆とも哀れこの上なし。病的に世界を恐れる、姉ロ一ラ。
 しばし切れて怒りを爆裂させる、語り手トム。時に通う家族愛が崩壊の予感の前で
 逆に傷ましく。ジムへの夢を砕かれるローラの絶望と、癒える事なき痛みを抱えた
 トムの叫びには、堪らない気持ちにさせられるねこ。

 役者。原作の登場人物を越え、生身の演者のありさまを体感させられ。いずれも
 入れこんだ演技に圧倒されるねこ。

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