＠初台 新国立劇場小劇場(2012/4/23-5/20 28ステージ)
http://www.nntt.jac.go.jp/
全指定 A席5250円 B席3150円 当日 Z席1500円、学生割引（Z席を除き全席半額）
＠兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 2ステージ
作：エリアム・クライエム 翻訳：常田景子 演出：宮田慶子
美術：土岐研一 照明：中川隆一 音響：高橋麗 衣裳：koco
ヘアメイク：川端富生 映像：冨田中理 演出助手：松森望宏 舞台監督：澁谷壽久
演出部：宇野圭一、網倉直樹、小島恵三子 ヘアメイク：高村マドカ
小道具：高津装飾美術、中村エリト 特殊小道具：土屋工房、土屋武史
芸術監督：宮田慶子 主催：新国立劇場 制作担当：太田衛
出演：
井上芳雄 ：マフムード(パレスチナ人)
益岡徹 ：ハンス(ユダヤ人のパン職人)
東風万智子：ノラ(パン屋店員)
あめくみちこ：ソーニャ(娼婦)
粟野史浩 ：アシュラフ
熊坂理恵子：ニュースキャスターの声
2012/4/28(土)晴 1:00-3:41PM(73/休15/72)中段中央 客席ほぼ満席(330？人)
客層：20-30歳代、次いで中高年女性7，8割。井上さんファンか、若返り傾向
客入れ：当日券 AとZ席に残席あり。16列と2Fバルコニー50席ほど。
折り込みチラシ少々。パンフなし。物販。パンフ B5 36ページ 800円。寄稿ほか
豊富。カーテンコール2回1分。
舞台。斜に置かれた古びたパン屋。下手半分が工房、上手が店舗と街路。上方に
周囲ビルの煉瓦壁や高層ビルがのぞき。
お話。路上でナイフに刺された青年を救った、ユダヤ人のパン屋。パレスチナ出身の
青年を匿い、見習い職人として雇う。パン屋がユダヤ人と知るや、敵視する青年は
ことあるごとに対立する。パン屋は寛容の精神で青年に説き、しだい心通うように
なる。しかし、青年には逃れられない宿命があって…。
パレスチナとイスラエル問題、憎悪と報復を繰り返す、出口のない題材を背景、
まじでガツンとくる作品。励ましや癒しなぞ、薬にもならない悲惨な世界が押し寄せ
、絶句するねこ。救いのないラスト。やるせなさ過ぎも、そうして世界を晒した
作家、企画した劇場に感謝したくもあり。
演出はテキストの言葉と人物の心情に等しく光を当て、直球に描いて力強い。
すべてを引き受けた役者は身に刻むように演じ、剛速球がずしんと胸に響き。
表面的ではないぶつかり合いが人間の柔らかい部分、ヒューマニズムを装わず浮かば
せて、じんわりと胸に沁み。立場が違えど、懸命に生きているのが知られて、厚い。
悲惨なラスト。残されたものは互いに見守り、助け合うだろうことが予感されるのが
ただ一つの救い。やるせないねこ。
役者。青年・井上君。怒り、泣き、醒めと揺れ動く複雑な青年を熱演。パン屋・
益岡さん。設定より若い感じも、傷ついてなお優しいさまが暖かく、しみじみ沁みて
感涙するねこ。
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