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 T.P.T.「エレクトラ」

 @森下・ベニサンピット(1996/3/14-4/29 48ステージ)前売当日7000
 作:ソポクレス 演出:デヴィッド・ルヴォー 美術:ヴィッキー・モーティマー
  出演:佐藤オリエ(エレクトラ)、千葉哲也(オレステス)、加藤治子(クリュタイメストラ)
 倉野章子(クリュソテミス)、江波杏子(ミュケナイの女) 他

 1996/4/13(土)2:OO-3:50PM 晴  4列上手より 客席ほぼ満員(140人)

 当日券。上下手端で20席ほど。空きあり。全階段席なので見晴らし◎。
 舞台。中央上下方向に長テーブル。足の一本は朽ち果て、煉瓦で代行。ほこり
 まみれのボトル、グラス。だらしないテーブルクロス。床は茶タイル。とこど
 こ破損。奥、窓ガラスも割れ、倒れかかり。戦争、空爆でも受けたみたい。
 おりしも劇場隣家を解体作業の騒音あり。荒廃雰囲気、ちと臨場感プラス。 
 
 お話。アガメムノン王。トロイ戦争から凱旋するも、王妃とその情夫に暗殺さ
 れた男。その娘エレクトラ(佐藤オリエ)が弟(千葉哲也)と力を合わせ、二
 人を殺し復讐するのが本編。

 復讐一直線・姉エレクトラの激といさめる妹のクール。対象くっきり。エレク
 トラ:無造作な髪と仕種。痛々しさが浮かぶ。佐藤オリエは圧倒的な長台詞。
 自分を追い込む姿、いつになく芝居掛かりな大仰さに思え、戸惑い。眠くもな
 るねこ。
 終盤、偽りの弟遺骨を抱き、ささやきかける場面。刺々しさから、和らぎと疲
 れ果てた悲しみへ。ふっと、貰い涙ねこ。
 家族には愛情、復讐には盲目の憎悪。復讐後、天井から落ちる血を受け、呆然
 自失のエレクトラ。学んでも繰り返す悲劇の連鎖。終演後、客席降りたそこに
 も、舞台と同じ朽ちたタイルが。現代も変わらず地続きということ?。悲しい。

 照明はみな斜め横から。闇とシャープな光。黒装束な衣装。コロスは3人。白
 塗り、黒い口紅、裸に直に上着。一人、江波杏子は台詞あり。冴え冴えとした
 クールさ、◎。残り二人は、黙したまま悲しみまたは無表情。沈静の効果?。