T.P.T. 「燈臺（とうだい）」
＠森下ベニサン・ピット(1997/11/19-12/28 31ステージ） 全指定 前売当日共6,000
作：三島由紀夫 演出：デヴィッド・ルヴォー 装置：ヴィッキ−・モ−ティマ−
照明：沢田祐二 衣装：黒須はな子
出演：堤真一(黒川昇）、中嶋朋子（黒川正子）、佐藤オリエ（黒川いさ子）、
真名古敬二（黒川祐吉）、小林あや（千葉順子）
1997/11/22(土)曇り 7:05-8:15 下手端から 客席超満員(190人)
客層：老若男女。女性は７割ほどの過半数。
客入れ：当日券。開演40分前発売。今回は１５人ほどで余裕の人数。本席２名、残
りは、端のパイプ椅子席。下手端席は窓外は死角、ベットでの演技などは真正面の
一長一短。いつものように、制作の方の誘導は丁寧適切で○。
舞台。菱形に張り出した、ホテルの一室。リアルなこじんまり。50-60年代？のモダ
ンさ。階上の部屋も同等にしつらえ、他人の目ありな含み持たせた装置○。下手壁
際に古風なラジオ。音楽はシナトラが唄うスタンダードとか。正面に大きめのガラ
ス戸とテラス。青いパイプ椅子と白テーブル。上手、重厚なグレーの壁際、細いパ
イプ足を持つシングルベット２つ。その手前は廊下へのドア。中央手前に大きな旅
行鞄。天井は流れるラインを描いて張り出し。閉塞な部屋に新規洋もの流入しての
その狭さは象徴的。
お話。若い継母に思いを寄せる兄（堤）。それに恋よりも平安、自分を殺した生活
を選ぶ、疲れた継母（佐藤）。芽生えかけの性衝動に戸惑い、成長を否定する妹（
中嶋）。知っていてもそしらぬ、無事なのが名馬な、のほほん父（真名古）。水面
下にあった兄の沸騰が表出した、一夜の出来事。
小さい短い高密度。どきどきの１時間。兄の自身さえ御しきれない牡なさま。それ
に戸惑い、拒絶しながら抗しきれない、継母と妹。隠そうとするもの、押さえきれ
ないものの葛藤。その危険な香りが、ちと古風で漢字な台詞の隙間、絡まる視線か
ら漂う、微妙さ◎。恋する演出というのかしら。３人の上気気味の演技が、不器用
な恋のぎこちなさを思わせて、くすくす笑いねこ。ユーモラスな味わいが墜ちてゆく
か閉塞するかの暗い予感に、不思議な明るさを与えてグー。ラスト、妹がガラス窓
に手を付き、見えるのは奥底深い暗闇、でも今の自分自身の姿もしっかり見えて
る。鮮やかで印象に残ったねこ。
役者。堤さん。硬派に学生服。おまけに均整とれた長駆のいい男ぶり。真面目暗い
表情が逆にそこはか微笑みを生んだりな魅力○。中嶋さん。くるくると移ろう表情が
◎。
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