T.P.T. Vol.25 ヴェデキント・プロジェクト「ルル」
＠森下・ベニサン・ピット (1998/12/6-29 29ステージ) 全指定 前売り当日共7000
作：F・ヴェデキント 台本：Ｅ・ベントリー「THE FIRST LULU 」
訳：松岡和子 演出：D・ルヴォー 音楽監督：ｃｏｂａ
美術：ヴィッキー・モーティマー 照明：沢田祐二 音響：高橋巌
衣装：黒須はな子
出演：
大竹しのぶ （ルル）
平松慎吾 （ルルの最初？の夫 ゴール博士）
今井朋彦 （若い絵描き ルルの2番目の夫 シュワルツ）
小林勝也 （ルルと旧知の仲、後に夫 作家 新聞編集者 シャーニング）
堤真一 （シャーニングの息子 ルルに夢中 アルヴァ）
春海四方 （アクロバット芸人 間男 ロドリーゴ）
大森博 （謎の男 白人奴隷業者 ピアーニ侯爵）
村上冬樹 （ルルの父親 シゴルク）
倉野章子 （ルルを深く愛する ゲシュヴィッツ伯爵令嬢）
真名古敬二（バーンスタインほか）、中島晴美（ビアネッタ）、
鈴木久美（マドレーヌ）、ドン貫太郎（ファーディナルドほか）
坪井美奈子（ヘンリエッタほか）
アコーディオン演奏：佐藤芳明
1998/12/29(火)晴 2:05-5:10PM(1'30+休15+1'15) 中段より 客席超満員(210人)
客層：８−９割女性客、20才代中心に幅広い年齢層。
客入れ：ソワレの当日券待ちと思われる列が劇場外に30人ほど。15人ほどしか入れ
ないはずなのに・・。ねこは当日券ならんだ時にありつきのキャンセル券で（末尾
参照方）パンフ(500)、いつもどおり手ごろな大きさ、ポイントついた内容。通し番
号座席はいつもながらわかりがたいけど、積極的に誘導してくれて○。当日券と思
われる客が下手壁際釣り椅子に。冷える？のか係員が気遣っているのが印象に残り
「春のめざめ」に続く、ヴァテキントプロジェクト第二弾、ねこでもしってる、ベ
ルクもオペラにしちゃってる「ルル」。
舞台。くすんだベルエポック。オペラハウスの楕円形ホーム設定の天井と湾曲した
壁の一部を見せる、ベルベット調の紅い壁。客席上まで大きく張り出した天井には
一列蛍光灯。登場人物達の楽屋裏な場面で白々と点いたり。床、下手に大きく弧を
描く乳白のシャワーカーテン。少女が遊ぶ姿、ルルの口元など映像を投影。正面下
手に奥行きある部屋、ソファ、いくつかの大きな鏡台がみえる。２ＣＨとだけ表示
されたＴＶ、部屋ドア、正面ソファなど含めて、調度はみな移動式。場面転換では
スタッフがスタッフ然としてセッティングの現場雰囲気あり。照明は横からのスポ
ット灯も多く、闇に語らせるな陰影演出。アコーディオン奏者は時に芝居に絡みな
がら、大竹ら役者が歌いながらの音楽挿入、濃い雰囲気造りがいい感じ。
お話。ルルを囲い者としている夫・ゴール老人の家。そこで出会った絵描きシュワ
ルツとルルの情事を知り、老人はショック死。運良く結婚した2人の生活も思い通り
にいかない。ルルの奔放、男達との浮気に絶望した絵描きの自殺でオシマイ。そん
なルルを引き取り、結婚したのは旧知のシャーニング。そんな彼も息子や間男との
浮気、これも自分の思い通りにならないルルに絶望、自殺を強要するが、心乱れる
ルルに撃たれて死んでしまう。一部始終をつかんだ侯爵はルルを脅迫。いったんは
諦めかけたルルも株の暴落やらのドサクサにまぎれて、父親、恋人とともに逃走。
蓄えが尽き、生活のため、ロンドンで街娼を始めた初日。客の手によって恋人は惨
殺され、自身も切り裂きジャックにより殺され、子宮を奪われてしまう。
荒くれに生気を発散するルル、有為転変な転換、軽妙なお茶目ぶり。これがルヴォ
ー？、でもルヴォー！な大胆さと繊細さの同居が面白い。冒頭は、撮影現場なあわ
ただしさ。前半、舞台には終始監督が立ち、演出も兼ねて照明やら目線で演技チェ
ック。ＴＶはビデオな２ＣＨしてるし、いかようにもできるな世界を暗示してるよ
う。そんな中、ルルは表向きは男の願望を叶えつつも、ここではないどこかへ行こ
うと抗い、常に脱出しようと身悶える。男の思い通りにならない彼女は悪女だが、
それ以前に留まれない、変わっていくさがをもつ人間（つうか女性）として描かれ
る。大竹しのぶは動物的な感性というのかで演技、赤裸々に荒くれて、また繊細に
とさまざまな顔を見せてくれる。死後の静寂も活きて来る、終始揺れ動く様が見事
普段は狙いすぎじゃん、べたじゃんとか思うねこも、ちと圧倒。自殺を強要される
場面での苦痛、ラスト温もりを求める寂寥などは感情が体感できるほど。久々、エ
ンゲキどっぷりな満腹感あり。
役者。この人目当ての当日客がなんと多いこと、な堤真一さん。悪乗りなイタリア
ン？野郎を熱演。春海四方さんとのお茶目な演技と共に、ルヴォーのこんな演出が
見られて面白いねこ。小林勝也さん。理性的でいてピカレスクな味わいが◎。
おまけ
12/26キャンセル券を譲ってもらうまでのこと。2時間前に劇場到着。１５人ほど列
うーんだめかな人数（堤さん出演公演時は10枚＋キャンセルが通常）発売１時間前
に制作のおねえさんから説明。今回は特に列ぶ人数が多い。枚数の説明と別枠の学
生券客の確認（この時点で５人枠に４人）。個人のキャンセル券さばきにお願い。
さばきの人に群がる「宝塚」状態となり、喧嘩沙汰となったことがある。混乱を避
けるためにキャンセル券は一旦窓口を通してほしい、と。昼間の公演は早朝から列
ぶので、どうしても厳しくなる。など。この時点で列は30-40人近くに。
結局、今回の発券は別枠学生券５枚＋一般券１１枚＋キャンセル４枚。ねこの直前
で完売。マチネがだめだった場合でもソワレ当日券の整理券はでないから、そのま
ま夜まで列ぶこととなる。うーん、どうしよう既にお尻冷えてるし、戸外でこの上
４時間も・・と思って鱈、別の日のさばきにありつき、ラッキねこ。
回を追う毎に、列びがエスカレーションするのには困ったもんだなと思うねこ
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