第三エロチカ 「ロスト・バビロン」
＠ザ・スズナリ (1999/1/14-24 13ステージ) 全自由前売り3500当日3800
作・演出： 美術：中越 司 音楽：杉浦英治 照明：高良康成
音響：原島正治（嘲組） 衣裳：宮本宣子 舞台監督：向井一裕（JAF）
宣伝美術：森崎偏陸 制作：平井佳子
出演：
中川安奈：女 吉田鋼太郎：男
宮島 健：軍人
哀藤誠司：男A、笠木 誠：男B 清田直子（竹内 泉）：若い女
吉村恵美子：少女
坂本容志枝：中年女 伊澤 勉（Wキャスト 水口 勲）：少年
野並哲郎：襲撃者A 登山貴弘、永野裕史：襲撃者たち
川村 毅：ボス
1999/1/23(土)晴れ 7:05-9:20PM(60+休10+65) 前方より 客席満員(140?人)
客層：20-30才代中心に幅広く。男女半々。
客入れ：開場、開演20分前。適時空席への誘導あり。パンフ(500)、これがないと
キャスト不明。中川安奈（の写真）がなんかとてもきれい。
昨年は外部演出ばかりだった川村 毅、久々の新作。
舞台。鋼鈑で囲まれた特殊施設然とした一室。床は錆色のパンチングメタル。正面
に等間隔ドア６、間の壁は所々欠け落ちたタイル。上方に一部欠けたガラス窓の列
斜めに被さるように傾斜して天井側まで。中央のガラス窓内には大型のＴＶモニタ。
ボスの姿、施設内部の様子が都度投影。
（大阪、名古屋公演を見られる方は、以下のお話をパス願い）
お話。目隠しされて、軍人につれ来られてきた男。部屋には女。2人は映画監督、
シナリオライターとしてバイオレンスアクション映画をつくった、かつての仲間、
そして元恋人どうし。ボスの指令はこうだ。秘密裏に準備されているテーマパーク
そのＰＲ映画を依頼する、それも歴史にのこるものを、と。と部屋に銃をもった男
が乱入、撃たれて死亡。驚愕する男に告げられたのは、ここは自由に人が撃てる、
といっても擬似弾だが、なテーマパークだと。男は銃を渡される、が思いきれない。
彼より長くここにいる女は、なぜか銃を拒否、酒に溺れながら執筆する始末。
彼女には暴漢に教われ、救えなかった妹というトラウマがあった。世間との断絶、
逃避が彼女の生きるすべ。2人のギクシャクとしたやり取りをよそに、テーマパーク
モニターのキッズ達は「殺人」に興じていた。が、死んでもすぐ生き返る死体ばかり
で飽きてしまう。もっとリアルさを、のリクエストに応じて、仮死状態となる弾丸、
擬似弾と区別つかず、が支給される。執筆中の脚本では、世界と対峙するすべを
銃にもとめる中学生、そして妹もモデルとして登場。もとめられている、死体の数を
誇るような、それだけストレスが解消されるようなストーリーとはかけ離れ、苦悩に
満ちていた。男は娯楽作を！と批判するが、イカレタ周囲を見渡し、しだい自信を
なくしてゆく。キッズ達がまた殺人に飽き、嫌悪感を抱き始めた時、事件が起きる。
殺され役の者達の反抗。武器庫から実弾、それも仮死弾、擬似弾と区別がつかず
が持ち出されてしまったのだ。非常事態。
その頃、女は狂気を増す周囲に、生きるための意志・力として銃を向けることが
できるようになっている。妹＝彼女自身のトラウマは消失。しかし殺戮は進み、救援
は来ず、包囲される部屋。男と女は生きてコメディ映画を創る事を約束。しかし、男
は撃たれ倒れてしまう。仮死弾？、実弾？。ほのかな希望を吹き消すかのように
舞台は暗転する。物語の少年、そして母親が登場。少年は決然として銃を構え、
母親は誇らしげに見守る。新緑の爽やかさな季節の中で。
ストレートプレイの手応え、悪戯で猥雑な荒くれのオモシロサ、がいい具合にワン
パッケージ。取りまとめの巧さが快感ねこ。川村 毅、最近じゃ一番の快作。中川
安奈、吉田鋼太郎が男と女いろいろな手応えある丁々発止演技。見ごたえ十分。特
に吉田さん。言葉への反応の鋭さなど細かくも、力に満ちた演技で◎。中川さんは
いるだけでかっこいい存在感を、時折醸して○。キッズのおにいさん、おじさん達
も悪餓鬼な危さを漂わせ、健闘。軍人やら、悪趣味な役柄、仕掛けも忘れずに絡ま
せ、ブラックでシニカルなお楽しみ。題材やその内実がいまさらながらの展開する
のは、新味に欠けて△。きっちり巧いんだけど・・。
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