ドラマリーディング 「バール Baal」
＠三軒茶屋・シアタートラム (1999/2/5-7 3ステージ)
全自由 前売り当日共1500、ユース割引1300
脚本：B.ブレヒト 訳：岩淵達治 演出：伊藤大 美術：柴田秀子
照明：杉本公亮 音響：中村恭子 舞台監督：鈴木章友
プロダクションマネージャー：熊谷明人 アーティスティックディレクター：佐藤信
企画制作：世田谷パブリックシアター
出演：
大高洋夫 ：（破滅型の若き詩人）バール
大鷹明良 ：（バールの友人）エーカルト
村松克巳 ：メッヒ、馬車引き、ミュルク、乞食、男、１人の男、樵
末次浩一 ：ピラー、馬車引き、ピアニスト、ポルポル、ヴァツマン、男、樵
加藤 満 ：プシィーラー、馬車引き、ループー、グーグー、男、樵
石母田史朗 ：（無垢な若者）ヨハネス
岩井ひとみ ：（バールに心囚われる夫人）エミーリエ、ソプラノ歌手、マヤ
伊沢磨紀 ：（酒場の女将）ルイーゼ、（バールに強奪される）ゾフィー、女給
鬼頭典子 ：（ヨハネスの恋人、バールに惹かれ破滅）ヨハンナ、若い婦人、若い女
ＫＯＮＴＡ ：演奏・唄
1999/2/5(金)晴れ 7:05-8:35(1'30) 中段より 客席満員(240人)
客層：20才代女性を最多に、老若男女。ご近所の人も多そうな雰囲気。
客入れ：整理券なし。ゆっくりと埋まる客席。初日だしね。当日券（開演50分前
発売）の待ち列もなかった模様。
台本を片手のリーディングスタイル上演。装置など制約が少ないため、欧米ではよ
く行われる形式とのこと。本劇場の定期企画は、魅力な出演者と映画より安い料金
で◎。今回は、生誕100年のブレヒトを特集。１＋２本立て企画。前回はKONTAの
ブレヒトソングコンサート。次回は今回処女戯曲から30年後の「アンチゴーネ」。
出演は、毬谷友子、鴨川てんし、松田洋治、佐藤誓ほか とまた豪華でお楽しみの
面々。
舞台。古木が背景。幹は二股に別れ、捻じ曲がり斜め上方、舞台幅一杯を占める。
幹の間には場面を示す壁画やら投影。上手下手、ポールの上にランプ３＋４ケ。床
上には石段な椅子が９つ点在。KONTAさんは客席側から弾き語りで登場、下手袖に。
お話。荒くれと詩情、鬼畜、背信と愛が奇妙に同居する破滅型詩人・歌手・バール
忌み嫌われながらも、多くの信奉者をもつ。女達は猥雑さに戸惑いながら、次々と
その魅力に囚われ、破滅して行く。破天荒に生きた彼もまた年を過ぎ、落ちぶれて
いくが。
ストイックな演出に猥雑な台詞のとり合わせ。ふーん。ど肥満なバールに痩身の大
高洋夫。衣装は総員黒1色。役者の動きはほとんどなし・まるで墓石然。装置は場を
示すスライドとか印のみ。先入観な臭みをなくし、ホンの言葉を浮き立たせる試み
かしら。その言葉・台詞が今時恥ずかしい。〜だぜっ！、といかにも荒くれ、そして
饒舌に繰り出される詩的修辞の数々。翻訳のせいもあるんだろうけど、なんか
困っちゃったねこ。
慰めを求め、飽きれば捨てる鬼畜なバールの行状、それでも惹かれる周囲の不条理
はイカレテて興味深い。もっと展開、内実を示せれば面白そう。正面を向き、目を
合わせない朗読者が、ラストで無縁仏然と死ぬバールに誰かしらと視線を注ぐ。
生前はバール本人を知ろうとせず、無名なものとなったとき、初めて関心を寄せる。
シニカルさをわかりやすく現した演出。でも、それまで動きらしい動きがないので
眠くなっちゃったねこ。
役者。手堅く、きっちり。いいやら不満やら。バール役・大高さん。もっと色気が
あるとリアリティでていいのに。ヨハネス役・石母田さん。瑞々しくて○。
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