タ・マニネ 第2回「悪戯(いたずら)」
＠渋谷 シアターコクーン (2000/5/19-6/4 20ステージ)
＠大阪6/23-25、福岡6/27-28
全指定前売り当日共 S7,000円 A5,000円 コクーンシート3,500円
作・演出：岩松了 舞台美術：鳥次郎 舞台美術助手：長田佳代子
照明：小笠原純 照明操作：佐々木真喜子 音響：藤田赤日 音響操作：水谷雄治
スタイリスト：勝俣浮子ほか 舞台監督：二瓶剛雄 宣伝美術：（株）サン・アド
ヘアメイク：高野雅子 制作：白井龍至 企画・製作：泉澤麗子（PUGPOINT）
出演：
小林薫 ：須藤秀雄（プロダクション所属・往年の人気役者。沢田と旧知。）
樋口可南子：沢田理子（プランニング会社女社長。美人。性格悪？良？）
吉見一豊 ：諸隅光太郎（プロダクション所属役者）[円]
ミシェル・フェレ：山科みよ子（プロダクション事務員）
石橋けい ：東山まどか（プロダクション新人。須藤の亡くなった親友の娘）
岩松了 ：川上（プロダクション営業）
顔田顔彦 ：トシオ（亡くなったプロダクション社長の息子）[大人計画]
田口浩正 ：中島真也（表側にある神社神主の息子）
中込佐知子：小島栄子（沢田の会社社員）
2000/5/20(土)雨 6:05-8:35PM(65/休15/75) 中段より 客席９割(700人)
客層：老若男女。年齢層高め。女性過半数。
客入れ：当日券。開演２時間前？から。Ｓ席中段以降３０席ほど。Ａ不明。
１時間前に購入も列びなし、売れてる席もほとんどなしで楽勝。
折り込みパンフなし。物販。パンフ（Ａ５版 700円）明朝体で統一。読み物
沢山。寄稿：村松友規、吉行和子、糸井重里、根本敬（マンガ）ほか。
対談：小林×樋口×田口、岩松了×松尾スズキ×松岡和子。第一幕の台本も
付録。ポスターほか。仮チラシ（半透明両面刷り）にスタンプした番号の下二桁
で抽選掲示あり。当たった人は「いいこと」があるそう。
場内案内常駐。注意アナウンス。携帯電話を鳴らすと、本人も「いたたまれない
気持ちになること必定」です、に場内笑い。
舞台。まあ素敵とおばさま方。普通の住宅で無いことがしられる瀟洒な木造部屋。
上手に円筒形ガラス窓一面のサンルーム。観葉植物は戸外の緑含め、適度豊富に。
中央〜下手は手前フローリングのリビング。手前テーブル１、ゆったりソファ２、
その後ろに無粋なスティール事務机２。両脇３、４段の階段あがると赤いカーペッ
ト。中央、社長椅子と簡素な机。上手に壁を向いた事務机。横に弧を描く大きな窓
中央から下手。シャワー室〜階下への階段その上に窓〜隣トイレがある設定。
神棚もしっかりあって、家主の実直さが知られ。なんにせよ、芸能事務所は小規模
とすぐわかるしょぼさ、中途半端さ。
お話。社長を亡くした後、所在不明の芸能事務所。なんとかしてるらしいけど、
巧くないのは梅雨空どよーんな雰囲気で知られ。おかげでみないらいらのいら。
ベテラン役者・須藤が仕切顔してるのが、面白くない役者猪熊。須藤が新人まどか
を親友の娘、心配だからと家に住まわせ、仕事のマネージメントしてるのも、
いやだし。ともかく全て面白くない社長遺児、といっても成人トシオはかき乱し
放しだし。隣なんでか、なんだかいる神主息子も我が家同然にいる始末。もう、
なんかだめだね。そんな頃、須藤と旧知のばりばり女社長・沢田が見かねたか、
とりまとめ引き受け。というのは表向き？。無関係顔していられる人がほとんど
いないほど、三角関係、愛憎がうねうねしてて、もう大変。
人の不条理浮かばせ巧み、な泥沼万歳世界。もう面白くてしょうがない、対岸火事
な人間模様。岩松了らしくて、好き好きねこ。複雑な背景や相関から、単純で深い
心理を炙らせる技もいつもながら◎、凪いだ水面下のどろどろが透けて見える
ほど、すばらしい人物造形。エキセントリックな一見無駄演技。嘘っぽいけど、
しっかりみな現実してるのがすごい。決してかっちょよいだけじゃない、人の
愚かさを浮かばせて○。
感情の起伏にシンクロする演出効果、小道具。さりげ計算されてて◎。一幕幕切れ
のどん詰まり場面、さっくりとにわか雨風景を重ね暗転とか、ぞくぞくねこ。
破れたストッキング、メロディ奏でるライター、ばらまかれる小銭とか、生理を
くすぐって、いちいちいいなあ。
嵐の前触れが終始連発する前半。重なるいらつきのシナジー効果。後半の救いの
なさ、須藤と沢田のすれ違う痛々しさに導く巧み。うーん、と含蓄ありまくる台詞
に唸るねこ。男はダメな野郎ばかり。その男のダメさという醒めきりに、冷静で
いられないと嘆く、理性的な女・沢田。はああ、女、ですか、そういうものですか、
とうむむねこ。
役者。樋口さん。美人、見た目性格悪い役。タバコ芝居にせよ、見た目かっこ良さ
同時、心に鎧着てる哀しい様が伺えて、なんともいい。小林さん。言葉巧みなダメ
男。いい具合に力が抜けた演技○。石橋さん。なぜかいつも見なくてもいいものを
見てしまう役。嘘ばかりの周囲に切り込むにつれ、いらつきの念波を発するようで
○。顔田さん。荒くれて猥雑になるほどに哀しくて、もらい泣き（しないけど）。 ［月間一覧］ |