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 tpt 「蜘蛛女のキス」

 @森下 ベニサン・ピット(2000/12/29-2001/1/28 35ステージ)
 全指定 前売り当日共 7,000円

 作:マヌエル・プイグ 訳:吉田美枝 演出:ロバート・アラン・アッカーマン
 美術:朝倉 摂 照明:沢田祐二 音響:高橋巌 衣装:黒須はな子
 ヘアメイク:高橋功亘 美術助手:礒沼陽子 舞台監督:小川 亘
 出演:
 山本亨 :モリーナ(心優しきホモセクシャル)
 高橋和也:ヴァレンティン(若き活動家)
 小林勝也(所長の声)、廣田敦郎(看守の声)

 2001/1/4(木)晴れ 3:05-5:30pm(65/休15/60) 中段下手より 客席5割(80人)
 客層:女性8,9割。20-30才代と叔母様年齢層。
 客入れ:当日券不明。後方4段は空席状態な正月仕事始め日。芝居は下手側の中心
 、一部上手奥であり(端だと若干見切れ)。折り込みパンフなし。物販。パンフ
 (B5半分 500円) 舞台、映画の上演記録付き。いつものようにロビーで軽食販売
 ご自由にコート掛けあり、と配慮がありがたいねこ。

 ロバート・アラン・アッカーマン演出、マヌエル・プイグ戯曲を連続上演企画。
 女優二人の「薔薇の花束の秘密」に続く今回。同氏の演出は91年村井邦夫+
 岡本健一以来。

 舞台。会場床とほぼ同高さに牢獄しつらえ。灰色の高い壁三方。上手、天井まで
 鉄格子、向こうに連なって見え、上方に蜘蛛の巣、鉄の梁が裸で横たわり。
 独房内。中央、モリーナは粗末な二段ベット。下手際、ヴァレンティンは通常の。
 二段ベットに紗がはいったオレンジ布カーテン、女優のピンナップ。精一杯飾った
 様が愛おしい。ヴァレンティン・ベット後ろに木製の引き戸。床に藁まばら、上手
 際に茶器、正面にコンロ。みな薄汚れぼろぼろながら、整然と置かれ。照明は
 鉄格子ごし。朝日、夕日、月明かりと細やかに移ろわせて◎。

 お話。ブエノスアイレス。同じ牢獄に閉じこめられた二人はちぐはぐ。一人はホモ
 セクシャルな「女」。もう一人は政治活動家な血気盛んな「男」。異なる世界の
 二人は不満とエゴをぶつけ合いながら、やがて人として愛に目覚めていく。しかし
 、世界は皮肉に醜くて。

 優しく繊細。脆弱で愚かで哀しい人をまるで燈火を手にくるみ、守るように描いて
 、しみじみねこ。冒頭、造ってるの?演技にうーん。いかにもなセクシャリティ
 表立ちに「男女」。その鎧を次第に脱ぎ、裸になってく後半以降が切なく、愛おしく
 て○。もう母子なほどの慈しみを感じさせる、男気役者の山本さんモリーナ○。
 まるで映画のよう、知るものには終わってしまった世界であることを示す、冒頭と
 ラスト演出。静かな哀切感がなんともいえず、○。翻訳がたまに文章しちゃうのは
 ちと寂しいねこ。

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