桃園会 第22回公演「のたり、のたり、」
＠下北沢 ザ・スズナリ（2002/2/21-24 5ステージ)
http://www.honda-geki.com/suzunari.html
全自由 前売2800円 当日3000円 学生2200円
作・演出：深津篤史 照明：西岡奈美 音効：大西博樹 舞台美術：池田ともゆき
舞台監督：岡 一代[池田意匠事務所] 宣伝美術：白沢正 イラスト：山田賢一
小道具：てくにしゃん・Boys 衣装：福本陽子、谷野智美 制作：桃園会
アーツマネイジメント：川南恵[Network unit Duo]
レイ・ブラッドベリ作「霧笛」より一部抜粋
助成：(財)セゾン文化財団 協賛：タカダテキスタイル(株)
出演：役柄別途掲載
亀岡寿行：100円
江口恵美：トロちゃん
藤野節子：セキリ
谷野智美：ウヨク
紀伊川淳：おーちゃん
小坂浩之：アイダ
川井直美：アイダの彼女
荒木千童：環状線の妹
加納亮子：ピーッ
雪之ダン(客演）：環状線
2002/2/23(土)曇 3:02-4:33PM(1'30) 前方より 客席３割(50人)
客層：20-30才代中心。コアな演劇ファンとお友達な感じ。男性過半数。
客入れ：荷物預かり、いつものようにあり。全ベンチシート。空席多の場合、隣に
荷物置くこと可能も、預けた方が○。床芝居が多く、最前方でもさほど首は疲れない
かも。物販。上演台本(A4 1000円）、ポストカード(1枚 150円)
大阪では日を改めて、もう１本上演。いずれも恋愛作品とか。
舞台。エロ本の島宇宙。５ｍ□盆な部屋、床にうずたかくマンガ、エロ本とエロ本。
壁、天井、背後扉の表はすべて白黒エロマンガが貼られ。港湾が近いのか、波音、
サイレン、汽笛。時折、霧笛がしみじみと泣き聞こえ。スズナリにしては小サイズ
なのは、大阪公演（カラビンカ、キャパ50）対応なのね。
お話。神戸港湾。かつて大地震、今はスラム、とあるアパート。トロちゃんの誕生日。
恋人？の１００円と一緒。でも、ずっと動かない、寝てるの？それとも死んじゃった？。
騒がしい連中と喧しく、脳天気そうにお話。１００円のこと好き？、よーわからん。
Ｈしても、いつもちょっとだけ…。きっつい現実にも、季節はひねもす平穏という残酷
酒とドラックで紛らわす、終わっちゃてる人々。切ない気持ちが沸々、とぼとぼと交差
する、恋愛劇。
疼く孤独の痛みを恋愛の切なさに重ね。ずきんと胸にきて堪らないねこ。深津作品に
してはシンプルな構成。カットバック多用、時空同一、意識下描写など、難解な作品群
より、さらり。音楽なら、歌詞が率直に聞こえるアカペラかしら。
どたばた、お惚け顔の大阪弁・日常会話。とほほさに笑い誘われるも、それは逆説。
酔いと夢に惑わずには生きていけない、苛烈な現実の裏返し。ぽつんと語られる暴力
の記憶、描かないことでより鮮烈印象。自衛のためか、感覚を鈍く、また破壊する
人たち。生死の実感がない。愛される実感を得るため、自分を傷つける。とりわけ、
トロちゃん。みんな夢に置き換え、微笑む様が痛ましい。傷を負いながらも、互いに
優しい人たちに泪誘われ。ふと醒めた一時にブラッドベリ「霧笛」の一節をモノロー
グ。絶望の闇の底からの叫びに心揺すぶられるねこ。
役者。味わいありの高水準。江口恵美。こんなに可哀想なのに、そんなにも愛らしい。
かの世界では萌え、な印象ねこ。亀岡寿行。さばさば振る舞うほどに、切なくて○。
雪之ダン。とても情けなく、人間味あって○。
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