桃園会 第25回公演「よぶには、とおい」
＠伊丹 アイホール（2003/6/13-15 4ステージ）
http://www6.ocn.ne.jp/~aihall/
全自由 前売2800円 当日3000円 学生2200円 ペア5000円
作・演出：深津篤史 舞台美術：池田ともゆき 照明効果：西岡奈美
音響効果：大西博樹 舞台監督：中村貴彦 イラスト：山田賢一 宣伝美術：白沢正
衣装：福本陽子 小道具：カラオケマジックII
制作：桃園会 主催：桃園会 提携：アイホール 助成：財団法人セゾン文化財団
協賛：タカダテキスタイル株式会社
出演：
橋本健司 ：遠山圭吾（見舞客）
森川万里 ：遠山由佳（見舞客 圭吾の妹）
加納亮子 ：金原 遥（見舞客 圭吾の腹違いの妹）
亀岡寿行 ：佐藤 一（見舞客 遥の恋人）
小坂浩之 ：高木さん（入院患者）
はたもとようこ：渡辺さん（入院患者）
芝本大吾 ：藤本さん（看護士）
荒木千童 ：大野さん（見舞客 高木さんの姉）
岩松高史 ：山下さん（見舞客 高木さんの友達）
長谷川一馬：広田さん（見舞客 高木さんの友達）
紀伊川淳 ：佐々木さん（見舞客 渡辺さんの知人）
江口恵美 ：信田さん（？）
2003/6/13(金)曇 7:35-9:21PM(1'45) 前方より 客席8割（110人）
客層：20-30才代中心。女性過半数。スーツ客は少な目。
客入れ：場内誘導随時あり。前2列平床、後方雛壇。舞台幅が狭いので、中央ブロック
で見た方が○。折り込みパンフ。B5 4ページ。あいさつ、配役、青空について役者
コメント、予定掲載。次回公演。10月若手公演(作；橋本健司）、12月本公演。いずれ
もウイングフィールドにて。物販。台本(A4 1000円)ほか。
震災もの、エロスものでない久々新作。
舞台。ブロンズガラス越しの風景のよう。清涼で美しい美術。病院の屋上設定。
前後に干された白いシーツ、ポールはペパーミントグリーン。なぜか真ん中だけ
高し。手前上手にリクライニング椅子、下手にペパーミントグリーンのベンチと吸い
殻缶。これら島舞台の四隅にメッシュメタル板が吊され、フェンスを模し。
お話。大阪郊外のとある病院の屋上。見晴らしはよく、遠いビルの隙間から海を望む
ことができる。朗らか顔で一見健康そうにみえる入院患者が気分転換に訪れてくる。
見舞客、職員もまた。何の気なしの会話の、それでも端々に影が見え隠れする。
死と別れの兆し。残される恋人や友人達の裏切りのような思い、罪悪感、疎外感。
不器用に現実に立ち向かうもの、器用に現実から目を背けるもの。入院中の父親を
見舞いにきた青年は出会う決心が付かず、妹達の怒りをかっている。腹違いの彼らは
父親の未知な面に、それぞれ憤りを感じてもいる。父親の容態が悪化する前、患者達
とお話の会をもっていたという。その患者の一人、信田さんと呼ばれる女性は、
鈴の音が聞こえないか、と青年に問いかける。不安を映したような薄暗がりな心の風
景に、それは癒しの音に聞こえて…。
辛いこの世と、十分生きた人の休息。きっつい生活を送る人々の苦しみと癒しが
重層する群像劇。屋上＝青空＝無防備な心＝安心、白いシーツ＝清らかな心 なメタ
ファーを潜め。白いシーツははためく屋上で、彼らは無垢になるが故、色濃く影を
見せる。生活のどこかであるような、痛い感触が重なり、胸迫るねこ。不思議女性・
信田さんは、祝福を届けられなかった神の罪滅ぼしな使者のよう。彼女が示す、
遠い鈴の音、遠い海原は儚く望む＝希望。その幸福と呼ぶには哀しく切ない、亡羊と
した感触がしみじみ沁みるねこ。砂漠にオアシス、そんなことばも浮かんだり。
役者。いつもより、さらっと感つよし。荒木さん、加納さんは素肌美人演出（いや、
美人は美人）。はたもとさん、すっぴんの魅力。橋本さん。ぱっとしない、不器用な
演技が役にははまり。優柔不断ぶりがなんか嫌みならない魅力。江口さん。関西
小劇場演劇を代表する女優である彼女は、今回もプリチー、ふにーと心とろかされる
ねこ。
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