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 tsumazuki no ishi「BRAY KITCHEN無頼キッチン」

 @下北沢 ザ・スズナリ(2005/4/27-5/1 8ステージ)
 http://www.honda-geki.com/suzunari.html
 全指定 前売当日共3500円

 作:スエヒロケイスケ 演出:木立隆雅(寺十吾 急病降板)
 演出助手:岡野正一 舞台監督:田中翼 照明:Jimmy[フリーウェイ]
 音響:岩野直人[ステージオフィス] 舞台美術:小林奈月
 宣伝美術:立花文穂 宣伝写真:久家靖秀
 制作:J-Stage Navi、tsumazuki no ishi 企画:tsumazuki no ishi
 出演:
 松嶋亮太 :多古田マサオ(多古田家主人 躁鬱病 失業中で主夫)
 太田晶子 :多古田ノリコ(マサオの嫁 一家を支える)
 日暮玩具 :国枝シンジ (ノリコの弟 多古田家で引きこもり中)

 永野昌也[スエヒロ アンド ザ スローモースローガンズ]:斉藤義文
  (NPO児童虐待保護団体「CAPT」メンバー)
 杏屋心檬(サエミマユコ改め) :高田純子(保健所職員)

 松原正隆 :白石一男(市立太田小学校教員、多古田マリオの担任)
 高橋由希 :野間咲江(市立太田小学校教員、マリオの副担任)

 蒲公仁[個人企画集団*ガマ発動期]:多喜田泰男
  (マサオ祖母の入浴介護員 ほかほかデイケア巡回サービス車両運転手)
 木立隆雅 :久野美智(ほかほかデイケア巡回サービス ヘルパー)
 宇鉄菊三 :喜多嶋奈知(ほかほかデイケア巡回サービス ヘルパー)

 岡野正一  :嘉志育造(NHK受信料徴収人)
 鈴木雄一郎 :押井輝久(シンジの友人 ニート)
 猫田 直:生田美咲(シンジたちに拉致され、シンジの部屋で飼育されている女性)

 2005/5/1(日)曇 2:06-3:55PM(1'48) 最前方より 客席9割(110人)
 客層:20-30歳代中心に幅広く、女性過半数。コアな演劇ファンと友人知人印象。
 客入れ:入り口掲示と折り込みにて、寺十氏急病による演出出演降板とキャンセル
 受付を案内。全指定席、雛壇にパイプ椅子。中程と縦に通路をおいて親切。誘導は
 随時あり。折り込みパンフ。A4 3.5折り 作演出挨拶、配役、スタッフ、予定掲載。
 8/10-13@愛知県勤労会館 KUDAN Project「百人芝居 真夜中の弥次さん喜多さん」
 来年7/26-30@ザ・スズナリ「KIMON鬼門メドレイ」 物販なし。

 近作を提供している、スエヒロケイスケ@名古屋の最新作。家族を描くにあたって
 「台所」を舞台に選んだとか。次回作は「玄関」とのこと。
 
 舞台。リアルサイズのダイニングキッチン。上手にシンク、グリル、壁に収納庫と
 セット。大型の冷蔵庫には子供が描いたクレヨン画。正面上手奥の棚に雑誌とか
 雑多に、脇のコートかけに黒いランドセル。その後ろに2階への階段、上方にドア
 をみせ。その下、奥まって洗面台、下手側にトイレドア。下手、斜に戸外に面した
 ガラス窓。手前、テーブルと椅子、キッチンとの間に台、子供用?椅子2脚。
 
 お話。素っ気ないほど、小ぎれいな台所。様子をみにきた、DV保護団体の係員に
 、当主は躁鬱に変化しながら報告。かつては息子を「消滅」させようと虐待したが
 、今は落ち着いている、大丈夫。当主の学友でもあった男性職員は信じ切れない。
 抗鬱剤のおかげで落ち着いたところへ学校担任。担当は現実がみえておらず、無責任
 、副担当は醒めてて、バイト感覚で仕事に距離。息子が2週間も不登校だという。
 保護している団体員も知らない事実。当主は虐待をしていないというし、理由不明。
 
 この家には2人、当主が世話をしている人間あり。2階で引きこもっている嫁の弟
 、当主の寝たきりの母親。この二人を巡っては殺伐とした状況あり。弟は家族に
 だまって女性を監禁、飼育。しかし、酷い目にあっても、むしろそれを望んでくる
 女性に辟易としている。祖母は呼び出しベルを鳴らしても、しばらくは放置されて
 いる。当主いわく、きれい事を並べても、結局親子とはただの支配関係。憤る団体
 職人に自分の母の思い出話。義務だけで愛情がなく育てられた、支配された過去。
 当主は息子が帰ることの願いをこめて、手製の豚カツの作り方を団体職員に
 教える。できた豚カツは、突然現れた飼育されてきた女性にむさぼり食らわれて
 しまう。驚き、そして無惨。

 負の視点から描く、家族の絆。袋小路で疲れ、荒くれている家族。家族愛を壊し、
 ディスコミュニケーションから始まる物語は、それでも?だから!な結びつきは
 何かと問いかける。愛情ではなく支配と唱える当主、そういう彼もそうすることで
 縛られている。ハードな関係性を平和な台所を舞台に、逆説に淡々と描いていく。
 呑気また罪のない意地悪な会話もしばし交わされ、殺伐として展開を適度に笑いで
 和らげ。奇をてらわず、劇的な音楽照明ら効果を抑え、台詞重視の役者芝居で
 構成。本当に食べる、のみならず調理する間はリアルタイム(豚カツが揚がるまで
 、無言の間しばしとか)。台所の静かな平和な場を丁寧に醸し、背景として○。
 
 役者。飼育されている役・猫田直。他の役者と異なる、動物的な生の感情を放ち、
 印象に残ったねこ。  

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