＠下北沢 ザ・スズナリ(2007/7/19-23 9ステージ)
http://www.honda-geki.com/suzunari.html
全指定 前売3500円、当日3800円
脚本:スエヒロケイスケ 演出:寺十吾
照明:Jimmy（(株)フリーウェイ） 音響:岩野直人（ステージオフィス）
舞台監督:田中翼 舞台美術:小林奈月 宣伝美術:立花文穂 宣伝写真:久家靖秀
舞台写真:nana 演出助手:岡野正一 制作:原田瞳 J-Stage Navi
企画・製作:tsumazuki no ishi
出演:
・公営住宅「猫が洞荘」にすむ人たち
原千晶 ：小手鞠町子 [ワタナベエンターテインメント]
宇鉄菊三 ：福家ふくげ友則
松嶋亮太 ：踝くるぶし康平
釈八子（元木立隆雅）：小野寺邦乃介
中野麻衣 ：小野寺芽衣
太田晶子 ：三崎亜由美
寺十吾 ：長坂昭夫
杏屋心檬 ：長坂暁子
・公営住宅「猫が洞荘」の、住人じゃない人々
中村靖日 ：桃原硬太郎
松原正隆 ：北村悦成
猫田直 ：大原とも子
蒲公仁 ：金城耕治 [個人企画集団＊ガマ発動期]
鈴木雄一郎：五間進
日暮玩具 ：踝周平
岡野正一 ：五十田五郎
2007/7/22(日)曇 2:06-4:40PM(2'34) 最前列より 客席超満員(120人)
客層：20-30歳代中心に幅広く。男女半々。
客入れ：ベンチ１、椅子10列がびっしり。当日券か、通路に補助。折り込みチラシ
結構。折り込みパンフ B5 3ページ。挨拶、スタッフ、配役、予定。次回公演。
来年1/31-2/6＠スズナリ。物販。台本1000円。 カーテンコール1回。
今度はガジラをtumazukika化する、スエヒロケイスケ＋寺十（じつなし）吾の最新作
舞台。いかにも、どこでもありそうなリアルな公営住宅の出入口付近。コンクリート
の天井梁が前後、湿った壁がぐるり。四角い開口から夏の戸外が遠近法にのぞき、
奥行き感あり。手前、上手に小さなガラス張りの管理室。下手壁沿いに全戸の郵便
受け、と小さなエレベータ。下手手前は共有倉庫のドアかと思いきや、主人公女性の
仮住まい。探す人たちには灯台もと暗しな。
お話。管理人や自警団が常駐なのに、というか部外者となれ合っちゃってるけど、
不振人物が出入りする公営住宅。独居老人の家を勝手に訪問しているボランティアが
いうには、人を捜している風の男あり。実は彼、小児性愛者(前科あり)。アルコール
？依存症で治療を受けていた女性カウンセラーの「娘」を追いかけているのだ。
実は彼、男性専門にも関わらず、「娘」に恋した神様の悪戯。自分でもわからぬ恋の
不思議に狂いそうになる男。そんな彼を同行の恋人（男性）は心配たまらず。２人の
生き地獄ぶりを、同行ねたを商売道具にしている、ネット専従の腐女子は大喜び。
さて、カウンセラーの女性もまた病んでいる。離縁した夫と子供を巡って離れきれず
そこには子供への暴力の陰がちらつく。他、住民も困った人たちばかりが登場。
ポストちらしを過剰に抗議する女性、その夫はへべれけになって帰宅のたび、汚物で
エレベータを汚す。後始末をする妻も人知れず壊れている。郵便配達夫は気のある
女性への手紙を手渡しするため、速達とするが受け取り拒否で報われない。管理人は
ミリタリーなコスプレ好きを人にはばかることなく加速、買い物は迷彩に真剣持参。
危うい人々のディープな出来事をちらみさせながら、表向きは真夏にうだる負け組の
自警団男と管理人のだらだらした会話でつづっていく。
まぎれもなく恋愛劇もただの恋の訳がない底意地の悪さ。恋することが相手を傷つけ
、自分をさいなむ危うさにあふれ。常識あるのに歪んでいる、理性的なのに踏み外し
てしまった登場人物ばかり。常軌を逸しているのに、恋の喜びや辛さは切ないほどに
伝わり、普遍という妙。きてれつに面白くも、個々人の抒情が痛く切なく浮かび
上がり、とこどこ沁みるねこ。
キャラの執着ぶりも異常だが、書き込みも執拗。関係性をしっかりと書き込み、緻密
な群像劇となり、がっつり、ガツンと見応えあり。その分上演時間長めなのは致し方
なし。
役者。原千晶。正攻法に常識人を熱演、アンバランスな面がもっと現れれば。
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