＠下北沢 本多劇場(2006/2/3-12 13ステージ）
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全指定 一般 前売4500円 当日5000円 学生 前売3000円 当日3500円
作・演出：水谷龍二
美術：中根聡子 照明：相良浩司 音響：原島正治 衣装：渡辺まり
演出助手：渡邊さつき 舞台監督：武川喜俊 宣伝美術：立川明
宣伝写真：塩谷安弘 プロデューサー：岡田潔 企画制作：トム・プロジェクト
第16回下北沢演劇祭参加
出演：
春風亭昇太 ：遠山 保(売れない版画家)
片桐はいり ：遠山房子(保の妻)
辺見えみり ：花村遼子(保と異母兄妹 日本舞踊の名取)
2006/2/11(土)晴 6:05-7:38PM(1'31）前方より 客席ほぼ満員（360人）
客層：大人よりに老若男女 女性7,8割。
客入れ：補助いすなし。ロビーに沢山の花。折り込みチラシそれなり厚。
折り込みパンフ A4 3ページ。出演者紹介など。物販なし。カーテンコール2回2分。
人間味あるコメディ巧者・水谷龍二新作。個性きわだつ三人芝居。
舞台。居心地の良さそうな、日本家屋。屋根型が上部につらなり。玄関の一輪挿し、
回り廊下の小庭ら、住む人の趣味の良さが伺え。上手引き戸から玄関、小さな回り
廊下の中程に石灯籠のある小庭。畳みの居間に藤製のソファセット、隅に茶箪笥、
上に創作生け花。さらに上手に仏壇のある板の間。暖簾の奥に台所がある設定。
その上、居間の壁向こうの階段から２階部屋。当家の主・遼子のこじんまりとした
部屋。クローゼット、版画がのった箪笥、化粧台。
お話。高名な代議士（故人）の息子は芸術家志望。母親とそりが合わず、妻とともに
出奔。今は無一文で、父のお妾さん・名芸者の娘宅に居候中。別宅の娘と彼は幼い事
から親しんだ仲、母親を亡くした後１人暮らしの寂しい娘には居候もまるで慶事。
ところが芸術家の妻は心落ち着かず。娘が容姿性格とも美人、しかも、別宅の子なの
に、夫より経済的に恵まれていると不満ぷんぷん。娘を追い出そうなどと暴言、夫は
諫めるが効なし。あからさまな嫌味にも、娘は大人に対応していたが、それも限界を
迎えてしまい。
通俗ドラマな設定も、人情の機微に通じた喜劇として上等。個性的な三人の絡みに
笑いつつ、しみじみと味わい。芸術家妻役・片桐はいり。無神経なのに神経質、大胆
なのに小心、ひがみっぽく妄想癖あり。困った言動が笑いを誘い、不憫さが滲んで、
憎めない。そんな人をいい案配の間合いと表情つけで演じて、さすが。歩み寄りたい
けど拒まれる娘役・辺見えみり。品の良さと知性を孤独の隠れ蓑としている、寂しい
人。すらっとした立ち姿に滲む、ぽつねん感が胸を打ち。２人とも、険呑な状況に
なっても、悪戯にべとつかせず○。間の芸術家役・昇太。分別と優しさをもつ故に
一見頼りなげ。２人の女性、とりわけ妻への誠意ある視点は揺るがず、感動的。
しみじみ地味に感じ入るねこ。
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