＠下北沢 駅前劇場(2008/2/6-11 8ステージ)
http://www.honda-geki.com/aaa/ekimae2.html
全指定 前売3500円 当日3800円
作・演出：山内ケンジ
舞台監督：森下紀彦 照明：佐藤啓 音響：藤平美保子 舞台美術：原田恭明
装置：福田暢秀[F.A.T STUDIO] 衣装：加藤和恵、平野里子
宣伝美術：蛍光TOKYO+DESIGN BOY 宣伝写真：RIN 制作：城島和加乃
主催・製作：城山羊の会
出演：
深浦加奈子：真山橋子
古舘寛治[青年団] ：真山純造（橋子の夫）
岡部たかし：墨田トシオ（純造の部下）
金谷真由美：黒田すみれ（トシオの妻、橋子の妹）
小浜正寛[ボクデス] ：添島竜彦（純造の部下、トシオの先輩）
石橋けい ：佐久間倫子（同じ会社のＯＬ）
2008/2/10(日)晴 3:08-4:58PM(1'50)最前方中央 客席満員(110人)
客層：中年層3割の大人客席、業界関係者とコアな演劇ファン？。女性6，7割。
客入れ：全椅子席。前後間隔をたっぷり取りセンター向きにした見やすい1，2列、
以降ゆるひな壇6列。脇に補助椅子増席。折り込みパンフそれなり。折り込みパンフ
A5 3ページ 挨拶、配役、スタッフ、予定。次回公演。11月中旬とだけ。
物販。台本500円。 カーテンコール1回。
密やかなお楽しみ、ＣＭディレクター山内氏(近作はsoftbank・白戸家の人々）の
演劇新作。
舞台。がらんと待合室然。椅子が等間隔、３つの島。下手端がベットとドア（ノブ）
の小部屋設定。壁は一面赤さびが浮いた鉄板状。
お話。一見平穏そうな夫婦の破局と崩壊、彼らと家族、関係する幾組か夫婦男女の
愛憎関係。求めながら叶わない、絶望的な愛のすれ違いを描く。夫は会社ＯＬに求め
られて肉体関係、妻はとあることから性風俗のアルバイトを始める。その妹の夫は
会社ＯＬに浮気心、最近離婚した会社同僚・自殺願望あり・もそのＯＬに欲望を
抱く。やがて、それぞれの隠し事は露見し、彼らの関係は急転する。
荒ぶる絶望の海に一人向かう深浦加奈子。豊潤な沈黙、はたまた時折のすっとこ
どっこいぶりが出色。もうご飯三杯は軽くおかわりしちゃいますな、美味しさ、すば
らしさ。どっぷり昼メロ、昭和の日本映画な愛憎劇。丁寧で緻密な演出はほどよい
さらり感と保ちつつ、ドラマを深化。そこにある現実と人間をしっかりと描く。
もしもを幻視する妻、自殺願望を抱く男の逃避もまた現実の裏打ち。終盤、身勝手な
夫婦に自傷を繰り返す娘がいることが明かされ。彼らのどうしようもない現実と断ち
がたい絆が、夫婦から家族へと人の関係を深く広く示していく。
そんなこんなを沈めず、汚さず、舞い上がらず、ええ感じの質感で演じた役者陣が
また◎。言葉の暴力が素敵にいやらしい・古舘寛治。微細な嫌悪ら表情が面白巧い・
金谷真由美。眼鏡美人・石橋けい。軽妙な口調・岡部たかし。神妙顔でスケベ心、
頭隠して尻隠さずな正直ぶりがとほほ・小浜正寛。
[月間一覧］