いるかホテル第三回公演「Ｘ」
＠大阪・扇町ミュージアムスクエア (1999/11/19-21 5ステージ)
全自由（整理番号付付）前売2200 当日2400
作：谷省吾[遊気舎]＋Ｊ 演出：谷省吾 舞台監督・美術：岡一代
照明：三浦あさ子 音響：三宅住絵
出演
西田政彦[遊気舎] ：沢良木（雑誌編集。報道＞演劇に新任。２年間記憶喪失）
穐永賢一 ：長野（沢良木の学生時代の友人）
園田知子 ：しのぶ（長野の妹）
宇都宮奈津実 ：津田（沢良木の学生時代の友人）
長光里奈 ：南（雑誌編集。沢良木のパートナー）
北村美和 ：谷上（雑誌編集。ミーハー）
松井尚子 ：稲野（稲野クリニック院長）
河部文 ：牧野（稲野クリニック助手）
大野友起子 ：守口（小劇場役者）
清水こずえ ：田辺（役柄失念）
瀬戸啓充 ：健太（沢良木が学生時代に通った居酒屋の店長）
宇仁菅（うにすが）綾/広田あき ：（同上の女将）
谷省吾[遊気舎] ：五社（週刊誌記者）
and Ｘ
＊：日替わり「大物キャスト」
11/19S遊気舎・山本忠
11/20M立身出世劇場・関秀人、S劇団∞未来探偵社・隈本晃俊
11/21M売込隊ビーム・山田かつろう、三谷恭子 S劇団赤鬼・吉村シュークリーム、小野弓
1999/11/20(土)晴れ 7:05-9:10PM(2'00) 前方より 客席8割(120？)
客層：20才代中心。若い女性が多し。
客入れ：谷さんが前説、携帯切ってとか。拍手して、はご愛敬。ゲストによって
上演時間に長短違いあるそう（マチネの関さんは長かったよう）
パンフに出演者
同士で印象の記載あり。
遊気舎のカンフー闘士キャラでおなじみ・谷省吾のアナザーサイド・ユニット。自ら
作・演出し、若手役者を起用。前作「破稿・銀河鉄道の夜」は多感な少女の思いを
丁寧に描いた好作品でした。３作目にあたる今回は趣を変えてサスペンス！なそう。
舞台。黒基調にサスペンスの予感。中央に斜めった通路。上手、通路に足がかりの
ベンチ。下手、電話機がのったスマートな椅子とテーブル。
お話。２年間の記憶がないという、元社会欄担当の記者・沢良木。リハバリと演劇
担当に。前任担当に押しつけら企画書がなにやら気に掛かり。Ｘと題された芝居。
離島で画期的という治療を施す診療所。新薬の副作用に問題ありと気づき、良心の
呵責を感じた医師は、改善を試みようとする。しかし、そのやり方は島の人々の
利益と相いれるものでなく、とん挫を余儀なくされて・・。これはノンフィクショ
ン。調査するにつれ、記憶が徐々に戻る沢良木。患者から死者がでた事実に診療所
の実体を告発せんとする医師・稲野に面会。核心に迫る直前に共同者である記者が
音信不通。結局、表沙汰となることがなかったことを知らされる。そして医師が教えて
くれたその記者の名は沢良木。その話しは事故に遭い、記憶を失った時期と
重なっていた。これは偶然の事故か、それとも事件なのか。
調査の内、沢良木は学生時代の津田、そして親友後藤の妹しのぶに出会い、後藤が
自殺したことを知る。思い起こされる津田との恋愛未満な日々、後藤との友情。
会社のしがらみもあり、診療所礼賛記事を書いた事を悔やむ沢良木に、後藤は告発
記事の資料を渡していた。沢良木の名をかたり、彼の名誉挽回がため手を尽くして。
しかし、それも沢良木が事故に合ったため、公表はできず仕舞いとなっていたのだ。
兄の死に疑惑を抱くしのぶと、沢良木はいつのまにか交際を始めていた。しのぶは
兄に伝えられなかった思いを沢良木に向けているかのようだった。そんなしのぶに
診療所の過去を探っていた週間誌記者・五社が接近する。五社の当て推量話に、
しのぶは激しく動揺。後藤が書いていた記事を沢良木がもみ消した、診療所は彼の
会社と繋がっている。後藤はその事実に絶望して自殺。沢良木が殺したも同然だと。
真相を知らないしのぶは沢良木をなじり、自殺。デマのため、死ななくてもよい人
が逝った。後藤もまた偶然の事故がための誤解から逝ってしまった。無知ゆえ苦し
む人々を救う志からなった記者なのに、自分は一体何をしてしまったのだと嘆く
沢良木。それからしばらく後の雑誌社。演劇担当は刷新。実は映画担当になりたか
った沢良木の同僚・南は希望叶い。そんな南のもと、Ｘの作家であり稲野診療所の
助手でもある牧野が情宣に現われる。あの芝居を上演したいのだと言う。そして
同じ頃、沢良木の告発記事を掲載した週刊誌が発刊される。
すれ違いの悲劇。もしかすると知らない間に、人を傷つけているかもな怖さ。
社会派な素材にうむむと思えど、本筋は違い。谷さんらしい、感傷と癒しの物語。
ナイーブな思いを丁寧に拾い上げてく。妹しのぶの痛々しい姿など、胸に来るねこ。
シニカルな部分もちょろとスパイス。ミーハーでお馬鹿そうな子が、映画が夢と
語る子より映画他に詳しかったりとか。カットバックを多用。進行につれ過去が
明かに、今の問題が浮ぶ進行。人の関係、それぞれの思いの描写に力点が置かれて
るせいか、時間の流れが？の時あり。上に書いたあらすじもちょっと怪しいかも。
中盤とか。役者多数出演も基本は２，３人芝居で混乱なし。津田＜＞後藤、沢良木
のあいまいな三角関係はよくわからず、うーんねこ。
シリアスな内容なれど、お茶目をいれて悪戯に沈ませない。和みな配慮○。ミーハー
編集者との脱力やり取り。主人公やパートナーの意外なドジぶり。やたら喧しい
居酒屋（控えの役者達が「喜んで〜」と袖で大音声）の可笑しさとか。
ゲストコーナーは、それぞれの劇団の情宣にきた設定。未来探偵社・隈本さん。
忘年会を舞台にしての芝居を年末に予定とのこと。
役者。瑞々しいのが、ここの特色かしら。しのぶ役、園田さん。移ろう表情が
細やかで○。南役、長光さん。はつらつ、健気さもあって○。沢良木役、西田さん
優しいお兄さんな風情、さらりとした様子に戸惑いの目線が○。
次回公演は99ワークショップ公演作品。東京(5/2-5＠駅前劇場）、大阪(6/22-4＠
ＯＭＳ）。
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