ＰＭ／飛ぶ教室 第20回公演「滝の茶屋のおじちゃん 2003」
＠大阪東梅田 扇町ミュージアムスクエア(2003/2/14-16 4ステージ)
http://www.oms.gr.jp/
＠神戸 アートビレッジセンター 2/7-9 4ステージ
全自由 前売3000円 当日3300円
作・演出：蟷螂襲 舞台監督：宮田重雄 照明：呉光雨、浅沼佳苗
音響効果：Alain Nouveau 宣伝美術：若浦宗八、千歳伸克 写真：友原良尚
制作：石垣佐登子ほか
出演：
山藤貴子 ：珠子（待たされてきた、ノブの恋人）
福井玲子 ：ユミ（おじちゃんの娘）
足利智実 ：牧美（ユミの従姉妹）
や乃えいじ：トンボ（ユミの従兄弟）
田中亜紗子：音（ユミの従姉妹）
白井哲也 ：慎二（ユミの従兄弟）
蟷螂襲 ：ノブ（ユミの弟、失踪してた）
桂つく枝 ：草森（牧師見習い）
（中田馨は事情により今回出演せず、とのこと。）
2003/2/15（土）晴 3:07-5:15PM(2'05) 最前列より 客席満員（130人）
客層：老若男女。高校生〜中高年まで。女性過半数、おじさん結構数。
客入れ：横に広がった舞台、誘導は見易い上手側より。正面、ベンチ２列、椅子５列
下手に小ブロック20?席。見切れがある席には注意書きや×の紙が貼られ。上手よりの
ちょっと後ろが見易いけど、前方で細かな役者の表情をみるもよし。荷物預かりは特
になし、土足ＯＫ。折り込みパンフ。B5 2ページ。配役、スタッフ、長いあいさつ。
次回公演。7/3-6ＨＥＰにて新作。物販なし（ＯＭＳ戯曲賞集を終演後販売。）
劇団再演。97年11月初演（＠ウイングフィールド 上演2時間半、ねこ未見）。
98年OMS戯曲賞受賞、2000年3月プロデュース公演（＠ＯＭＳ、スズナリ 北村想演出
上演1時間半）。ノブ以外を死者とし、鋭敏な演出の公演でうーん！？だったねこ
には、待望のオリジナル再演。
舞台。（手前に海）奥のコンクリート堤防までこんもりと盛り上がった砂原。上手
手前に一部、下手端に巨大なコンクリート円柱（明石海峡大橋の橋脚）。まるで
劇場の天井を突き破ってそびえているよう。奥壁は斜めになった砂色で一面。
お話。神戸・舞子、明石海峡大橋の橋脚が立つ小さな砂原。震災の時脱線した山陽
電鉄の運転士だった「おじちゃん」の一周忌。砂浜にユミと珠子、ユミの従兄弟達。
珠子の恋人、ユミの弟のノブは家をでて音信不通。法要の夕方、故人を偲んで久方に
集まった人達、問わず語りの内に浮かび上がる、亡き人の優しき思い。
哀傷と慈しみの気持ち満ち。零れる役者の涙が砂原に落ちるにつれ、乾いた心は潤っ
ていく。震災から年をおいた人々。薄れる記憶と、心が覚えてしまっている変わら
ない気持ちの距離感。そのもどかしさ、悲しさ、切なさを、蟷螂襲は止めどない言葉
にのせ、そうしてさえ言葉にならない気持ちと共に描いていく。出ずっぱりの役者達
の緊密というより、ごく親密なアンサンブル、内から溢れる表現はいつもながら素晴
らしい。神戸という狭い町での、人と街の暖かさを背景にしたこの作品に相応しく◎。
先端とは別のところで育まれる、関西劇団らしい美点の結晶と思うねこ。登場人物の
気持ちに寄り添うように流れる音楽、穏やかな照明もまたしみじみ浸み。北村演出の
！？が解消して、一安心ねこ。
今回のノブ（蟷螂襲）はとっても泣き虫（カーテンコールでも、泣いてしまったし）。
逃げながらも神戸に秘かに戻ってしまった訳、周囲が見捨てず心砕いた訳、姉が
身勝手さを許さず、手を挙げてしまった訳、がわかったような気持ちねこ。愛すべき
ダメ男・ノブへ花束をあげたいねこ。でも、珠子の恋人役は！？、なんか全然恋愛の
匂いがしないんだもの（よく言って、兄妹）。
役者。山藤さん。遠く海をみる瞳にすっと心引かれるねこ。や乃さん。あてがきに
見事と応えてて○。
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