野田地図「赤鬼」
＠渋谷・パルコ スペースＰ３（1996/10/12-11/10 36ステージ）前売り6500
作・演出：野田秀樹 美術：日比野克彦
出演：野田秀樹、富田靖子、段田安則、アンガス・バーネット
1996/10/30(水)晴 3:00-4:30PM 劇場長手方向左サイド(C) 前方から 客席満員(280)
客層：女性７割位。２０代後半平均？。時々おやじ。
舞台。四方に客席。切り株みたい一段高い舞台。縁にぐるっとガラス瓶。にディ
ジーなど、花一輪。あとは網と電工ドラム。
お話。浜辺に漂着した異邦人（アンガス）。不理解な言葉をしゃべる男。村人は
化け物呼ばわり、恐怖の的。その中、はみ出し者の三人：うそつき・ミズカネ
（段田）、阿呆・とんび（野田）とその妹・災難を呼ぶ女は彼と交流をもって。
人を後退させる黒い力。理解できないものへの恐れ。それ故の理屈を越えた排斥
の暴力。ひずみながら膨張する流言の酷さ。そして嫉妬という化け物。それらか
ら繰り返される悲劇を、野田さんとは思えないほど、わかりやすく描く。醜い日
本人が出てた、青年団の「南へ」とか、思い出したねこ。
役者は旋風のよう。くるくる変容、何役も変わりながら駆けていく。特に冒頭嵐
の場の急展開は目が覚めるよう。一転、静止の妙もまた印象的。
野田さん、段田さんは水を得た魚。目まぐるしいなかも、自由に演じてて◎。微
笑みねこ。あんま自在すぎて、富田さんが一本調子で固くみえてしまうほど。
富田さんは泣かせる。苦境のなかも、まっすぐ力強い瞳。決然とした声。赤鬼と
言葉通じたときの喜びの輝き。美しい。やっぱ、彼女が一番好き。ラスト、どう
しようもない絶望に、ただ静かに微笑む彼女。涙止まらず、ぽろぽろねこ。
終演後、すぐに拍手してほしくなかった。一時、１０秒でいいから、深く沈む悲
しみを黙して見つめてほしかった、したかったねこ。
アンガスさんはあたたかい印象。他の舞台でも観てみたい。
ご参考→赤鬼（タイ語版上演）
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