青年団 若手自主公演（第５回） side-a「ｋｎｏｂ」
＠駒場東大前 こまばアゴラ劇場 （2000/2/4-6 5ステージ）
全自由（整理番号付）前売・当日共 1,500円
[side-a]+[side-b]セット券 2,500円（前売のみ・劇団扱いのみ）
作： 夏井孝裕[reset-Ｎ] 演出： 中埜コウシ[青年団演出部]
美術・装置：朴宰民、杉山至+突貫屋 照明：岩城保+ＺＥＳＴ 宣伝美術：京
総合製作：平田オリザ
出演：ダブルキャストＡ／Ｂ Ａキャスト観劇。
ミサコ （恋人に片思い） ：望月志津子（Ａ）福士史麻（Ｂ）
カタヤマ（ミサコが理解できない彼氏）：藤木卓
カナ （ＳＭな恋愛関係も片思い） ：川隅奈保子
サノ （カナ「ご主人様」） ：奥田洋平
タロウ（仮）（頭のねじがゆるい少女）：田村みずほ（Ａ）藤原桜子（Ｂ）
スズキ （タロウの雇われお守り） ：小林洋平
イワモト（サノに誘われてきた人） ：大竹直
2000/2/6(日)晴れ 5:05?-6:25PM(1'20) 上手ブロックより 客席満員（110?人）
客層：20-30才代中心に老若男女。女性過半数。
客入れ：開場開演２０分前。荷物預かり積極的。終演後、段取り悪くもたつき。
階段脇に整列して、きっちり入場。ほとんど椅子席で楽、逆にベンチは窮屈そう。
物販。戯曲、著作、ビデオほか。
青年団の若手演出家が企画、若手俳優とのワークショップにより作劇する試み。
reset-Nが再演を重ねる作品（日本劇作家協会最優秀新人賞受賞）を取り上げ。
舞台。韓国アーティストの手になる美術。浮かぶ鋼鉄の島舞台。鋼材枠組みに
縞鋼板の床、３×４ｍほど、は赤錆色。四隅を数本のワイヤ吊られ、やや捻れて
歪み。床には白い羽毛が散乱、隅よりに床収納扉のような「窓」。業務用ペール
缶２。足下に窓ある危うさ、羽毛に飛翔より堕ちた顛末をイメージねこ。
お話。中止のテーマパーク、建設途中のビルの一室。ＳＭのような行為にふける
カップル、壊れていく彼女にとまどう男、母親を見失った少女と子守男。らの
ブラウン運動な、すれ違いながらも何れかを触発しちゃう会話あれこれ。
ここでは綱渡りな関係、命綱付き。この緩さもまた今時。屈折しつつ自己嫌悪で
自爆。それが如何ともしがたい登場人物達。関係が保てないことが今や関係の証。
その歪みに痛みを感じながら向き合う意志や覚悟が、きりきりと哀切なこの作品。
青年団の舞台は、危うさの手前で寸止め、理性でブレーキ掛けてる印象。
だから例えば、少女は投身自殺したとは思えない。死ななければいけない、不可解
不条理な理由が舞台から感じられないから。いい悪いでなく、それも今の姿とは
思うねこ。そこまでせずとも、緩くこの地獄を生きてく選択もあるのだから。
でも、原作の意図しただろう方向と違和感。reset-N舞台のずーんと胸にくる手応え
に比して、ものたりなさはあり。
演出は工夫。暗転なし、若干の明暗変化のみ。役者の出はけを全部みせてく。
暴力シーンも様式的にみせる。見えない怖さはあんま煽らない舞台。頭のねじが
緩い男性役は女性に変更、女優が演じる。男の子ぽい物言いの（女に至らない）
少女が母親を思慕することで、二重に「母性、女」の欠落を示す。かしらん。
役者。いつもながら、高水準。川隅奈保子さん。苦しみと菩薩（こけしな目とか）な
和らぎの行き交いが印象。奥田洋平さん。醒めた目線。田村みずほさん。野生児。
鋭い一言の小悪魔目線にどきりねこ。
［月間一覧］
|