青年団プロデュース＋「月の岬」プロジェクト 「月の岬」
＠新宿・紀伊國屋ホール (2000/9/7-12 8ステージ)
全指定 前売3,800円 当日4,000円 前売学生2,500円 前売高校生以下2,000円
作：松田正隆 演出：平田オリザ[青年団] 美術：奥村泰彦[ＭＯＮＯ]
舞台監督：清水忠文 舞監助手：西田聖 照明：吉本有輝子 衣装：飯室亜希子
演出助手：安田まり子、竹花佑輔 宣伝美術：太田裕子
チラシイラスト：マタキサキコ 制作：松尾洋一郎、澤藤 歩、遠藤寿美子、
田原恵美子
出演：
初演 今回
シアタートラム ５都市公演
1997/7/9-13
8ステージ
３都市公演
前売当日3,000円
平岡佐和子（姉） ：内田淳子[元時空劇場] ←
平岡信夫 （弟） ：金子魁伺[KTカムパニー] 大田宏（金子魁伺改メ）[青年団]
平岡直子（その新妻）：藤野節子[桃園会] ← 大浦和美（嫁いだ妹）：斎藤和華子 ← [青年団]
大浦幸一（その夫） ：葛西健一 松井周[青年団] 清川悟（言い寄る男）：金替康博[元時空劇場] ← [ＭＯＮＯ]
清川裕子（その妻） ：桝野恵子 山村崇子[青年団]
清川有里（連れ子） ：塩湯マユミ[ＭＯＰ] 井上三奈子 丸尾（生徒） ：由螺真一郎[遊劇体] 川原田 樹
柳沢（生徒） ：岩城覚久 小林洋平[青年団]
七瀬（生徒） ：井上三奈子 占部房子[チャリカルキ] 杉本巡査 ：近藤善樹[元時空劇場] カネダ淳 江藤峯子（目撃した女）：片桐槙和子 ← 2000/9/9(土)晴れ 3:05-4:55PM(1'50) 最前方より 客席７割？(300人）
客層：老若男女、幅広く、まんべんなく。学生結構多そう。
客入れ：当日券。両袖３列がずっと後列まで。Ａ、Ｂ（中央はＣまで）列撤去、
広々。そこらは「桟橋」の手前設定。やや見上げる感じなれど、苦なし。
折り込みパンフ。再演に寄せる言葉あれこれ。松田「ゆきあたりばったりで書
いた」平田「細部を積み上げていくだけだ」。ふーん、ねこ。物販、戯曲本多数。
読売新聞演劇賞やら97年受賞作品。というより、主宰の時空劇場を解散した直後、
初めての外部提供にして、いまだ代表作。
舞台。旧家な落ちつきある、奥村氏らしい上質の美術。縁側のある茶の間、下手に
玄関、上手に母屋。壁が斜め格子で半見えなのが演劇なメタファー。奧（客席手前
）から姉の部屋、中程の階段あがって見えない二階・弟夫婦の部屋、庭側台所と
勝手口。縁側に唯一彩りの風鈴。ちりん音と明転での転換は初演同様。分かり易い
けど、ちょっとくどい繰り返し。初演との違い。お座敷な舞台前面が突出した岬状
ここだけ取り残されたのねな、わかりやすい美術に変更され。
お話。長崎の離島。父母を亡くしている姉と弟。姉に言い寄る昔恋人、弟と関係を
問いただす女子学生が広げる波紋、からそれぞれの秘密、喪失の物語が覗き見えて
くる。
明晰な戯曲描写、繊細な演技、で完成度高い崩壊劇、再び。仔細であるほどに、
松田戯曲特有の人の曖昧がくっきり。そんな逆説してる演劇の面白さもまた◎。
初演は三角関係の重層、みえない暗部・性と死の潜み、その炙りだしにふふーん。
今回は報われない、ダメ人間達にうーんねこ。男女に、人の間に川（今回は
満ち潮に孤立する岬か）があるというけど、ここでは無理矢理渡ろうとして溺れる
人ひとばかり。愚かさをおとぼけな笑い添えつつ、ドライに描く視点に醒めた悪意
あり。誘惑を拒絶しきれない虚ろを抱えた佐和子。言い寄る男の崩壊家族に
他人事に「おしまい」宣言する子供。とか。絶望な今の世界を透徹する、松田作品
の魅力に改めてしびれるねこ。
役者。金替康博。もうたまんないダメ男ぶり。情けない姿に一喜なく一憂ばかりの
とほほ加減◎。内田淳子。惹かれる謎めいた憂い顔と愛らしい微笑みのアンビバレ
ンツ。年を重ねて益々魅力的。終わってる世界でほっと一息、困り顔の少年役、
川原田君。君が居てくれてよかったよ、な朴訥さ○。
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