大人計画「エロスの果て」
＠下北沢 本多劇場(2001/3/14-4/1 22ステージ)
＠大阪 4/5-8
全指定前売り4,700円 当日5,000円
作・演出：松尾スズキ 舞台監督：青木義博 照明：佐藤啓
音響：半田充[MMS] 舞台美術：加藤ちか 衣裏：戸田京子 音楽：伊藤ヨタロウ
振付：長田奈麻[ナイロン100℃] 殺陣指導：三宅弘城[ナイロン100℃]
舞台写真：田中亜紀 宣伝写真：大橋仁、滝本淳助 宣伝美術：吉澤正美
演出助手：大堀光威、佐藤涼子 演出部：舛田勝敏、佐藤昭子
照明操作：山口功一、伊藤孝、横堀和宏、望月章宏 音響助手：竹田せり[MMS]
衣裳助手：伊澤潤子、梅田和加子 大道具製作：c−COM 制作助手：河端ナツキ
制作：長坂まき子
出演：
阿部サダヲ：サイゴ（愛のないセックス遺児）
宮藤官九郎：小山田（その友達）
荒川良々 ：角川春樹（２人の心酔・神童）
伊勢志度 ：峰子 （サイゴの育ての親）
宍戸美和公：ハル （サイゴの育ての親）
猫背椿 ：アズミ（サイゴの育ての親）
村杉蝉之介：蝉丸 （ＡＶ監督）
田村たがめ：ジュン（新人イメクラ嬢）
池津祥子 ：サヤカ（男狩りする女）
ドロレスヘンダーソン：ドーン・ダベンポート（その相棒）
近藤公園 ：イマヲ
平岩紙 ：ムネ
皆川猿時 ：スパイダー（ピン芸人）ほか
秋山菜津子：ナツコ（エクスタシー至上主義・女医）
宮崎吐夢 ：ピーチ（おカマ）
松尾スズキ：臼田 （もぐりの人体改造医師）
顔田顔彦 ：醍醐 （看視員）
2001/3/18(日）晴れ 7:05-9:05PM(2'00) 後方より 客席超満員（450人）
客層：20-30歳代中心。男女半々。
客入れ：当日券。販売30分前で70人ほど列。劇場外の車道まで延びてるのは
見たことないねこ。通路前、通路、最後尾が席。折り込みパンフ。配役、
スタッフ、予定。物販。パンフ(A4 1200円）写真沢山。松尾スズキ、林葉直子
の対談収録。ほか戯曲本とか割引販売。
舞台。真っ赤な多角形お盆。正面はカーペット敷き階段のように客席に落ち。
正面奥と両袖にフェンスの一部と張り出し台。そして、ど真ん中は「半神」
みたいな回り舞台。
お話。201*年東京。就職面接で競い合う二人、サイゴと小山田。負けたほうが
奴隷になるルール。二人にはものすごい友達・角川あり。イクことを忌み嫌う
僕らのクールを率先するカリスマ。そんな彼らの前にこまっちな現実。セックス
三昧に爛れた周囲。男を狩る女の結社。もっともっとくれくれタコらと跨る女。
さらにむかつく偉そう顔のサラリーマン。そんな中で僕らのお楽しみはちょび髭
でファシズムみたいファッション、と破壊。サイゴの育ての親な風俗嬢達、その
愛人達のなれの果て。友達の友達の出会いあれこれと、またその果て。枝葉いろ
いろをカットバックしながら、希う快楽絶頂な果て、この世のリセットへと集束
してく。
痺る松尾スズキ作品、久々堪能。これさえあれば、ほかはいらないねこ。初期作品
「ゲームの達人」とか彷彿させる、モザイクサイケな複雑物語。上滑りつつ鋭い
ギャグめいた台詞。変態ばっか登場人物。身障、快楽に焦がれるあまり、人体改造
する女達、対して悦楽を拒絶しつくす男達、それらを商売趣味にするもの。とか。
全編、暴力とセックスの醜くくもすばらしいエネルギーあり。荒くれた行動にどう
しようもない人の悲しさを裏打ちして、独特の美しさ。今回、オペラアリア音楽、
無駄を削ぎ落とし美術、三角関係とか三つ巴の構図が象徴的に重層とか、スタイ
リッシュになったスタイル進化にも興味つきないねこ（いいやら悪いやらだけど）。
とてもシビア、これも痺れ。今日も明日も続く絶望。それを知っていながら,なま
くらに癒しや安い笑いに逃げる、どうしようもない今時。箸が転んでも状態の
客席に一刺台詞があったり、毒やまず。終わってる世界で確かなのは、なんで
あれ、人は生きつづけるだろうこと。イノセンスな男女を残すラストとか、荒野を
描きながら、冷静沈着な理性が常にそこにあって鋭い。
役者。阿部さん。危うさと理性のバランスの妙。宮藤さん。勘違いのひどいやつ
ぶりが面白い。荒川さん。相変わらず、卑怯キャラ、だけど面白い。松尾さん。
余裕。秋山さん。「キレイ」からまた一皮剥けて、まあすごい。体当たりのエロな
荒くれぶりが素敵。
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